今回はADVANCE DREAM TRADINGさんのスーパーサーフスプールを御紹介します。
このスプールは鳥取県の鳥取市に有るADVANCE DREAM TRADINGさん
(以下ADTと記させて頂きます)が設計、製作されたものです。
ADTさんではかつてからバス、エギング、ジギング用リールの
スペシャルスプールやリールのグリップ、そしてスペシャルチューニングしたドラッグシステム等をを作成されていました。
そして今回、同じ鳥取市で投げ釣りを愛好されている海風(HN)さんがADTの社長である福井様とお知り合いになられ、
今までのチタニウム用スペシャルスプールの欠点である、
樹脂製スプールの「締め付けの強いナイロンライン使用時の強度不足」、そして金属製スプールの「錆び易さ」
「軽量化の為に多くの穴を開けた為に起こる海からの潮風と飛砂による
ベアリングやスプール軸への海水、砂の浸入」などを
改善したものが出来ないかと既製品を持ち込んで相談され、社長さんが「それならうちでやってみよう・・」
と制作に着手されました。福井社長が「他社が真似する事を諦めるような物を作る」と海風さんに言われただけに
かなり投げ用スペシャルスプールについて研究されたようで、依頼者の海風さんも納得のスプールが今回完成し、
それを1個、「是非一度使って見て下さい」と私にお送り頂ける事になりました。m(__)m(^o^)丿
そしてメールを頂いてから数日でスプールが到着!!。荷物を開梱するとADTと記されたステッカーが貼られた
投げスプール専用容器にきっちりと収まったスペシャルスプールが現われ、期待を膨らませてくれます。
そして容器から取り出し、持ってみると「ウッ・・カッ軽い・・・」と言うのが第一印象。
ADTさんのHPを見させて頂きますと・・何と56グラムとの事で最軽量の金属製チタン、テクニウム用スプールとの事。
樹脂製のものがすでに50グラム台で出てはいますが、元来樹脂と金属では比重が違い、
特別な設計のようです。
早速夢屋のスプールと比較してみますが、両手で持ち比べてもかなり軽く、並べて見て納得。
下写真で判るように、各部は極限まで素材を削り込まれてスプール軸と接する部分以外に
1ミリ以上の厚みを有する部分が見当たりません。これはかなり高度な金属加工技術、さすがに幾多の
スペシャルスプールを作り続けておられ、ノウハウもかなりのものなのだろうなぁ・・と感心しました。
「この薄さを追求した極限の加工で軽量化の為の穴あけ加工無しでも最軽量を達成されたのだろう」と思いつつ
スプールの裏側を覗き込んでみますと、スプール受けと接する4本のピンの中まできれいに削り込んであり、
「徹底的に贅肉をそぎ落としてやろう」と頑張られたこだわりの跡が垣間見えます。
そして早速所有しているスプール群と並べてみますが、
ADTさんのこのスプールに対する設計コンセプトは「実釣で使う為に最良のものを作る」と言う事で
トラブルレスを優先され、今回はノーテーパーを選択されたとの事。
数値的には口径74ミリでエッジのテーパー角度は21度。テーパー角度は
夢屋の0.4号仕様と0.8号仕様の中間の数値だそうで、ラインキャパシティーはPEの0.8号で200メートル、
0.6号なら250メートルまで可能だそうです。
先端口径は夢屋のよりも更に2ミリ程度大きく、
右側にあるテクニウムMgの標準スプールとほぼ同等です。
また、スカートが長く仕上げられており、スプールを目一杯先端に出しても
リール側の糸落ち防止溝が僅かに現われる程度であり、
糸落ちによる巻き込みトラブルを嫌った設計です。
下写真のようにスプールをリールから目一杯上に出した状態で
ベールアームとのクリアランスは1ミリ以下・・・。よってこれ以上の大口径化は出来ないと言う極限の設計です。
スカート部にはADTのロゴがチェッカーフラッグを模したステッカーに印刷されて貼り付けてあり、
デザイン上のアクセントとなっています。
素材は「最も耐食性に優れた超合金」と言われており、
叩いた感じは夢屋製よりもカン高い音がして硬度が高そうな素材です。
塩害に対して心配される塗装ですが、これは「アルマイト加工仕上げ」との事で、
試しに目立たないスプールの内側の一部をマイナスドライバーの先端で擦って見ましたが殆どキズらしいものは付かず
強靭な金属表面加工のようです。他には同等の加工を施された赤と更に強靭なハードアルマイト塗装のチタンシルバー色。
更に黒色も有り、これにはテフロン加工も施されているそうです。
下写真のは最も腐食に強くて硬い金属表面加工を施されたハードアルマイト仕様のものですが、
こちらはチタンと同色に近い色合いで、表面は青より更にスベスベしており、価格は少し高くなりますが、
これも長く愛用出来そうです。
塩害を徹底的に嫌った結果の塗装と素材の採用であり、今まで作って来られたスプールのノウハウ、耐塩害実績を
生かされておられます。また、手に持った感じは表面がとてもスベスベしており、
エッジ部の角度も浅く、摩擦抵抗も低く抑えられていると思います。
そしてリールに装着すると・・これが精悍な感じでチタンシルバーのリールに青やハードアルマイト色はとてもよく映え、
とても気に入ってしまいました。
また、チタニウムの独特の精緻な回転感にテクニウムMgと同等径のスプール装着により、
「チタンに装着可能なスプールは小さいので飛距離と巻き上げスピードがMgと比べて一寸なぁ・・
しかしチタニウムの回転はとてもスムーズでテクニウムMgではこのシットリとした回転感は
得られないし、双方の良いところを併せ持つリールが欲しいなぁ・・」と・・
どちらのリールを今年はメインで使うか悩んでいた所ですが、今回このスプールの登場で
テクニウムMg純正と同等以上の大口径が実現。そして軽量化も図られた事で、ベール付きリールである
チタニウム、テクニウムのトラブルの少なさも相まって、今後は私のチタニウムの出番も復活しそうです。
そして私なりにこのシンプルなスプールに会わせて一寸改造。(~o~) 虚飾を嫌い、大口径スプールを装着した場合に
全然マッチしていないスプールノブを分解して全く機能していないムダな金属リングを
ネジ2本を緩めて取り外し装着してみました。(^^)
ウ〜ム・これでも未だシンプルさに欠けるかなぁ・・とお次はクーラー改造の時に使った蝶ナットでやってみました。(^^)v
機能的にはこれで十分で、シンブルそのもの・・。誰かの格言に「全てシンプルなものが偉大なり・・」と言うのがありますが、
無駄を捨ててシンプルな機能を追求するとスッキリして使い勝手も良いものです。
ちなみにこの蝶ナットで強く締め付けてもナットの下のアルマイトにはキズすら付かず、
ここでもアルマイト層の強靭さを実感・・・。
樹脂製スプールも素材の特性から錆びなくて軽い事がとても良い点だと思いますが、
それを素材とスプール表面に施された金属表面加工、そして極限の削り出し加工技術で凌駕された
ADT製のスプールは金属製独特の精緻感もあり、お勧め出来るものと思います。
キスシーズンまでには未だ1ヶ月ありますが、早く糸を巻いてこれを使ってみたくてウズウズしています。!(^^)!
但し、限定120個のみの生産との事ですので、テクニウム、チタニウムファンの方はお早めに・・・。
詳しくはADTさんのトピックスページをご覧下さい。
また、チタン、テクニウム用のスペシャルグリップも設計、製作販売されています。こちらもコンパクトで
精緻な感じで良さげ〜っ(~o~) 自分好みのリールに仕上げる事が出来て楽しみですねっ。
今回、このような素晴らしいスプールを御紹介頂きスプールをお送り頂いた海風さんと
海風さんの要望に素晴らしい職人技で応えられたADTの福井様に感謝致します。
次回は実際に海に持ち出してレポートしましたのでご覧下さい。