TOPGUNホルダー製作

トップガンは2002年秋に発売され、今や私たち投げ北チームでも常用しているキス釣り用天秤と

なりました。

空気抵抗、海底との摩擦抵抗が、今までの鉛製天秤とは比べ物にならない程低減した事により、

飛距離アップとさびき釣りの時のスムーズなトレース感など、オモリ部分の比重アップと体積減少は

キス釣りの楽しさをますます高めてくれました。 価格は鉛製の天秤の10倍程度と高価なのが難点ですが、

キスの引き釣りでは根ががりが無い場所で使うので殆どロストする心配は無く、

私も昨年は若宮でテトラに引っ掛けた時と淡路島の吹き上げの浜での大会で

根に掛かった時にとで2個を無くしましたが

パッチンしてのロストはローライダーガイドのお陰もあって皆無であり、キスの引き釣りに砂浜で使うだけであれば

そんなにコスト高とはならず、好んで使用しています。

そして昨年春にはHidebuさんより手作りのジュラコン製トップガンホルダーを作って頂き、送って頂きましたm(__)m。

そのトップガンホルダーはとても使い勝手が良く、昨年一年間使用しましたが、ジュラコン樹脂

で作られているために変形、退色、腐食も皆無で、お送り頂いた時そのままの状態で今もキススペシャルクーラー

に取り付けて愛用させてもらっています。

そして今年・・・今年は投げ北チームも6人体制にパワーアップ(~o~)。今年は皆がトップガンを使うようになりそうだし、

上ちゃん、エボさんからもホルダーが欲しいと聞いていましたので、私もジュラコンを加工して皆の分も自分で作ってみる

事にしました。 で・・先ずは素材のジュラコン樹脂を探してみましたが、

ホームセンターやDIY専門店に行っても個人向けに小ロットでは販売されておらず、

DIYで作るには入手しにくい素材である事が判りました。 

仕方なくネットで検索していると・・・ようやく材料屋.comと言うサイトを見付け、ジュラコン樹脂の小売販売を発見。

しかし・・そこで販売されているのは円筒状のジュラコンと500×1000ミリの板材のみでトップガンホルダーに使うには

形や大きさが違い過ぎて使い難く、価格も・・・何とかカットして使えそうな500×1000ミリで板厚20ミリの素材で

47,630円也〜っ(>_<)で、とても手が出ません。

そこでまたHidebuさんにお願いし、無理を言って

ジュラコン樹脂のブロックを分けて頂ける事になりました。m(__)m

上写真のブロックを4個もお送り頂きましたが、上写真のもので約1キロのブロックで、キロ当たりで計算すると

これだけで5,000円程度する代物で4個で20,000円相当。(@_@;) 

Hidebuさんに恐縮しながらお礼のメールを書き、早速素材の特徴を調べます。

で・・・ジュラコン樹脂は正式名称をポリアセタールと言い、特徴としては

@ 機械的強度と合成にすぐれている

A 耐疲労性にすぐれている

B 自己潤滑性を有し、摩擦係数が小さく、耐磨耗性にすぐれる

C 寸法安定性にすぐれている

D 耐油、耐薬品性にすぐれ、腐食が殆ど発生しない。

E 使用可能な温度範囲が広い(−40〜+150℃)

と言う特徴を有し、ジュラコンとはポリプラスチックス鰍フ商品名です。

生活用品では、車のドアのロック爪やワイパーモーターの樹脂歯車、水道の蛇口の中や引き戸のローラー等、

案外身近な所で使われており、その破壊強度と自己潤滑性による滑りの良さで

ガタや磨耗を嫌う部位に多用される樹脂であり、粘りを伴った強度とツルツルとした滑りの良さが特徴です。

もちろん、樹脂特有の錆びない、腐食しない、と言う性能も持ち合わせており、長年紫外線に当てると

ボロボロになる、ナイロン等より数倍も耐候性が有る素材です。

さてっいよいよこの貴重な素材が手に入り、料理に取り掛かりますが、このブロックをどのように切断するかが

先ず問題となりました。(>_<)

手始めに木用ノコギリで切り出しに取り掛かりましたが、粘りが有る素材ゆえにノコギリの歯が挟まって

押しも引きも出来なくなるは、強引に切り出しても自己潤滑性能が高いゆえにツルツル滑って

なかなか刃先が立たず、ノコギリを力いっぱいに引く割には少ししか切り進めません。(T_T)

そこで人力での切り出しは諦め、工具屋に行って相談した所、「こいつは切断機で無いとダメですよ」と言われ

バーゲン品の「リョービ、パワーカッター」を1万円で買うハメに・・(^_^;)

「刃は何を使えば良いの?」と聞くと

「このカッターに付属のヤスリ刃で鋼材も切れるから樹脂なんぞは簡単に切れるヨ〜」と言われ

それを信用して先ずは切り出し線を書き、カッターに付属のバイスに挟んで固定し

勇んでスイッチオン!!。「こいつなら楽勝じゃ〜」と思いつつ刃を下ろしてカットに取りかかりますが、

いきなり刃から白煙が噴出し、あたりはロウを溶かしたような異臭につつまれ・・・(>_<)

それでもマスクをして強引に切り進みますが、このパワーカッターですら

熱で溶けた樹脂で刃が挟まれて、まるでディスクブレーキ状態。

切り進む程に回転が落ち、逆に摩擦で発熱して白煙がもうもうとあたりに舞い、

熱で溶けたジュラコンが下写真のように周囲に飛び散ります。(T_T)


近くで見ていた愛犬もその悪臭と轟音に恐れをなして犬小屋に逃げ込むは、

ご近所の奥さんはしかめっ面をして雨戸を閉めるは・・。と・・言う事でこの鋼材用ヤスリ刃では

文字どうりに全く刃が立たず、思案の末に木工用ノコギリ刃を装着して切り進むと・・・何の事は無い、

「キュイィーン」とケムリも無く切り進みスパッと切断(^_^;)

「道具屋のおっさんはジュラコンを切った事無いやろうから仕方が無いか・・・」とようやくジュラコンのカットは

刃が粗い木材用が良い事を勉強・・・。

次は切り出した素材の表面が荒れているので♯60のサントペーバーで滑らかにします。



そして穴あけ加工の為に寸法取り。 今回は5個装着用を作るので幅24ミリ×長さ120ミリ×高さ30ミリにカットし

穴位置を油性ペンで書き出します。(ちなみに水性ペンやポールペン、鉛筆では滑って全く書けません)

次はいよいよトップガンを挿入する穴あけ加工です。先ずは4ミリの鉄鋼ドリルを12ボルトの充電ドリルに装着。

「また白煙が出るのかなぁ・・」と心配しつつドリルを始動して掘り進みますと・・・意外やドリルではとても良く切り進め、

木に穴あけしているのと同様の感覚で「スコンッ」とあっけなく下穴が貫通(~o~)。

次は木工用のホゾ穴開け用の13.5ミリドリル刃で穴を開けてゆきますが、これも木の加工の時と同様の切れ味で

容易に穴が掘れ、一つの穴加工に20秒もかかりません。ちなみに・・13.5ミリはトップガンの

30号、33号の一番太い部分と同径のサイズです。

素材を切り出した後はトントン拍子で作業は進み、一気に4本のトップガンホルダーが完成です。(~o~)

早速トップガンを挿入しますと・・・同径としたために強く押し込むとピッタリと樹脂がトップガンを挟み込み、

逆さにしても落ちない刺し具合で仕上がりました。 

また、私のようにトップガン落下防止具を付ける場合は

15ミリ径のドリル刃で良いと思います。13.5ミリでは装着時にガタが出ず、

車にクーラーを積んで悪路を走っても天秤がガチャガチャ音を発せず、良いと思いますが

穴あけして多くのトップガンを挿して気付いたのですが、トップガンは加工精度がいまいち・・で

多分タングステンの丸棒から旋盤を使って削り出しで作っていると思われますが、その径にはバラツキが有り、

同じ穴でもスコンッと入るものや、ギュッと強く押し込んでもなかなか収まらないものなど

かなり寸法にバラツキが有り、余裕をもって大きめの穴を開け、落下防止具を付けるほうが

実用的です。

下写真はトップガン33号を左から4本、右端だけは30号を挿しましたが30号と33号は同径なので

共用出来ます。 また、ホルダーの両端にも4ミリ径の穴を開け、ここにステンレスの4ミリ×長さ30ミリ程度の

木ネジを差込み、クーラーにネジ留めします。

ジュラコン樹脂は自己潤滑素材なので両面テープや接着剤は全く粘着せず、

ネジ留めでのみクーラーに装着可能です。


と・・言う事で最初は素材のカットに難儀しましたが、素材に合った刃を見出してからは木と同様の加工性で

表面もきれいに仕上げられますし、対候性もあり、丈夫な素材ですので一個作ると長く使え、

クーラーがボロボロになる位年月が経っても新品同様であると思われる素材です。

今回頂いたブロック1個で10本のトップガンホルダーが作れますが、高価な素材であり、

大切に使ってゆきたいと思っています。

また、他のクーラー装着具も思案中・・・・。滑りが良い素材なので力糸ホルダーの心棒や台座などにも

応用出来そうですし、丸棒の素材と旋盤が有ればオリジナルスプールも作れそうですなっ。(~o~)

今後もいろいろと思案しつつ「お宅」コーナーを充実しようかなっ。キスが釣れ出したら、んな事してられ

ませんが、端境期にはこんな事をして海に思いを馳せつつ「お宅」してます・・・(^_^;)