リールのギア交換奮闘記
他の項ではスーパーエアロチタンの分解グリスアップをご紹介していますが、
グリスを注入しても回転させた時にゴロゴロ感が無くならないようなら、
いよいよギアやベアリングの交換時期となった事をリールが教えてくれている訳で
磨耗部品にいくら高性能のグリスを塗布しても回転音やゴロゴロ感は無くなりません。
私のスーパーエアロチタンも3シーズン目・・・グリスは頻繁に交換して来ましたが、
購入後暫くはグリスも注さずに使ったのと、高速サビキで酷使したせいか、
最近いくらグリスを替えても僅かな「ゴロゴロ」感が出始めました。
糸を巻き取るだけなら全く問題は無く、このまま使えるのですが、キスのアタリをハンドルを
通じて感じる事も有り、そのアタリにこの僅かな「ゴロゴロ」感が混じると嫌なので、
先日釣具店にリールを持ち込み、ギアとベアリング交換の見積もりを出してもらった所、
約2万円程度・・・と予想どうりの高い見積もりが・・・リールの価格が12万なので仕方が無いのかも
知れませんが、2万と言えば夢屋のスプールが買えるしなぁ・・
と思いつつ部品の価格表を見てみると一番磨耗していて、
高いと思っていたマスターギアが2000円、ピニオンギアも1500円、その他のギアや
ベアリングなどは殆どが500円から300円と言う値段・・・!!。
「この程度の値段なら、自分で交換」となり、勇んで釣具店に注文し、10日余りで入荷しました。
注文した部品は
マスターギア | 2000円 |
ピニオンギア | 1500円 |
中間ギア | 300円 |
ピニオンウオームギア | 500円 |
ピニオン減速ギア | 300円 |
クロスギアウォームギア | 500円 |
メインベアリング | 1000円 |
合計6100円也・・・・今回のゴロゴロ感は主にマスターギアと
ピニオンギアの交換で直るハズですが、
せっかく完全分解する事ですし、二度手間を防ぐ為に、
他のギアと大きな力が加わる最も大きなベアリングも2個、交換する事にしました。
さてっ、早速リールを分解し、汚れたグリスをアルコールと
パーツクリーナーと言うスプレーで洗浄しつつ
分解を進めます。小さな部品が多いので、分解した順番に部品を並べ、整理しながら作業を進め、
上写真の状態からが、いざ本番!!。ここまではグリスアップの時に分解しましたが、
これからは未知の世界に・・・(^_^;)
これから外すネジやベアリングはとても小さいのに全部サイズが違うので、特に慎重に
分解し、丁寧に部品を並べて組み立ての時に間違えないようにしなくてはなりません。
殆どの部品を分解し終わったら、最後にマスターギアを取り外す事になります。
マスターギアを交換したら、次にビニオンギア、ベアリングなどに薄くグリスやモリブデンを
塗布しつつ、これまた慎重に組み立て、とりあえずまた上の写真の状態で恐る恐る回して
みます。ここで少しでも変な異音を生じたり、回転が重ければとこか組み付けを間違っているので
組み立て直し、約1時間で上の写真の状態に戻す事が出来ました。
この未知の世界の分解手順はとても複雑で私の表現力ではとても・・・
写真を使っても説明出来ませんm(__)m
さてっここまで組み立てが終わったら、軽く回しつつ、モリブデングリスを各ギアやベアリング、
回転軸に塗布し、いよいよボディーを取り付け、ベイルアームASSYも取り付けて終了です。
交換したマスターギアは殆ど磨耗はしていないようでしたが、
ピニオンギア(上から2番目の金色のギア)
が少し磨耗しており、原因は私が高速サビキで酷使したのと、
マスターギアに比べて3倍以上の速さで回転するギアで有る事が重なり、遂には磨耗が始まり
わずかな「ゴロゴロ」感を生じていたようでした。
でも、この二つのギアは常に擦れあって回る為に同時交換しないと、相性が悪く、いわゆる
ある程度回転させた後に得られる「あたり、なじみ」による滑らかな回転は得られないようです。
車による慣らし運転のようなものですが、いくら高精度に研磨されているとは言え、
組み付けた当初はゴロゴロ感は無いものの、何か滑らかさが無く、回転音もカン高かったのですが、
モリブデングリスを塗布し、空のスプールに糸を巻いたりしている内に音も消え、本来の
氷の上を滑っているような滑らかさが復活しました。いわゆるギアの「あたり」が付き、
なじみあったようで、これでやっとあの嫌な「ゴロゴロ」感が無くなりました。
作業はとても複雑怪奇で組み立てを間違って壊すとメーカーサービスでの保証も受けられませんので
決してお勧めは致しませんが、一旦ゴロゴロ感が出たリールは
グリスアップである程度は改善出来ますが
それでもダメならやはり早めにギア交換しないと、完全には戻らない事・・・
そしてこのギアの磨耗の原因はやはりグリス切れ、過重が原因・・・磨耗し始めるとグリスが塗って
あっても切り粉が発生し加速度的に磨耗する。ギアよりベアリングはかなり丈夫で
劣化が少ない等が今回完全オーバーホールする事によって判ったのでギア交換奮闘記を
書かせて頂きました。組み付けミスによる事故も考えられますので、
余りメカに触った事の無い方にはお勧め出来ませんが、
時計職人の方や普段精密機械組み立て等に携わっておられる方なら
交換は出来ると思います。
但し工具は高精度な物が必須ですし、あくまでも自己責任での作業となりますので
闇雲に分解したりするような、無理な作業は禁物です。