リールも何百回と使うと、いよいよ完全オーバーホールが必要となりますが
私のスーパーエアロチタンも釣行回数数百回・・・最近異音や回転時のゴロゴロ感も出始め、
いよいよ車で言えば車検時期・・・そこで磨耗部品であるギアやペアリング、ゴムワッシャーなど
を注文しました。 交換しない部品も古く汚れたグリスやスラッジを洗浄する事にし、
いよいよ完全分解に取り掛かります。しかしチタンは総部品点数109個・・各部品が複雑に絡み合い
且つとても小さいので慎重に作業せねばなりませんが、今まで何回も分解、組み立てしましたので
有る程度のコツもつかみました。そのコツとは「各機構ごとにブロックで分解し、
小さなリングやバネ、ワッシャーなどはなるべく軸やブロックに取り付けたままで
洗浄する事・・」です。そうする事で作業手順も簡略化出来、見た目以上に楽に分解組み立て
出来ます。
尚、部品の組み立て間違いや欠品を防ぐ為にシマノのHPより部品の展開図が公開されており、
これを印刷してから作業に取り掛かる事が大切で、この項では、部品名称や番号はこの
展開図に準じて説明致します。
さて、早速分解に取り掛かりますが、準備する工具は、♯2と♯3のプラスドライバー、
♯2のマイナスドライバー、六角レンチ、モンキーレンチ、ラジオペンチ、程度でOK。
その他部品の洗浄用にホワイトガソリンを入れた容器と麺棒、ティシュペーパー、タオルなど
を準備します。
さてっ早速分解に取り掛かりますが最初にハンドルを回して外し、9番10番のスプール受けとスプール座金
を取り外します。
次に15番の回転軸ナットをモンキーレンチかソケットレンチで外しますが、ここは逆ネジになって
いますので反時計方向に回転させて外します。
ナットを外すと47番の回転枠全体が外れ、57番のローラークラッチ完が見えます。このクラッチ完の
外周にゴムベルト状の54番、ローラークラッチリングが有りますのでこれを取り外します。
次に55番のローラークラッチ取り付けボルト4本を緩め、ローラークラッチと64番のOリングを
外します。
ローラークラッチが外れたらリール上部の分解は終わりですので各部品を洗浄、清掃、注油しておきます。
尚今回は完全OHなので57番のローラークラッチ完は交換します。
次にリール内部の分解ですが、先ず108番109番のネジを6角レンチで緩め、107番の本体Aを外します。
次に101番の本体ガードと呼ばれる真鋳の板を抜き取り、ローラークラッチを外すと見えてくる
59番のベアリング押さえ板を58番のネジ4本を緩めて外し、その下の60番のベアリングを抜いて外します。
ベアリングは交換します。
いよいよここからはリールの最奥部・・小さな部品が多いので注意しつつ作業する事になりますが、
先ず99番の2本のボルトを緩め、100番の中間ギアーガイドを外します。
すると、90、97、96、95、93番のギアやワッシャーが塊で外れますが
これらはこのまままとめてブロックとして取り外し、これ以上分解しないようにします。
これらの小さな部品をバラバラにしないように洗浄したら
次に84番のネジを緩め、36番のスプール軸と61番のピニオンギアを抜き取ります。
ピニオンギアは磨耗部品なので交換します。
そして99番のネジ2本を緩め、98番のウオームギア側ガイドを外します。
すると90、91、92、93、94番のギアや軸、ワッシャーが外れますがこれもこれ以上は分解せず
まとめて洗浄しておきます。
すると63番の大きな本体フランジが外せ、フランジには62番のベアリングが付いていますので
交換します。
次に69番のガイド長、とガイド短を抜き取りますと、79、80、65、81、83、82、84番の躍動子部が
まとめて外れますので、これもこれ以上は分解せず、このまま洗浄します。
ここまで分解するとやっと105番のマスターギアが外れる状態となり、マスターギアと60番、
102番のベアリングをまとめて抜き取ります。
マスターギアとベアリング2個は交換しますが、マスターギアに104番のゴムのOリングと103番の銅リングが
付いていますので、外しておきます。。特にこのゴムリングが重要部品で、このゴムのリングを
ベアリングがピニオンギアの方向に押す形で設計されており、
このゴムの弾力性を利用してピニオンギアにマスターギアが
適正な圧力で密着されるようになっており、この密着がこのリールの回転時の「ツルツル感」を
支えており、これを取り付け忘れるとすぐにギアが偏磨耗したり、ゴロゴロ感が出てしまいます。
ギアも黒でリングも同色、そして密着しているので、一つの部品に見えてしまい、
良く外し忘れてしまいますので、リングを再利用する時は注意が必要です。しかし今回はゴムのへたりも
考えられ、このゴムリングはマスターギアと共に同時交換するほうが良いと思います。
組み立ては外す時より慎重且つ丁寧に、回転部分やベアリング、ギアには注油やグリスアップをしつつ
分解した時と逆の手順で確実に組み上げます。 組み上がったらハンドルとスプールを取り付け
回してみますが、最初はギアの「あたり」が未だ付いておらず、何かザラザラした回転感ですが、
何回もハンドルを回している内に「なじみ」が出て次第に「ツルツル」感が出て来ます。
回転が滑らかになって来たら、一旦塗布したマスターギアとピニオンギアのグリスは
ギアのあたりが出る段階で出る金属粉で汚れていますので、麺棒できれいに除去し
最後にモリブデングリスを塗布してやると、とても軽くスベスベした感覚で回転するようになり、
これでリールの完全OHも終了です。
最後に・・・今回は極簡単に書きましたが、初めて分解する方はかなり時間を要する事も予想されますし
部品の組み付け間違いや欠品による組み立て不良も考えられますので、同様のOHをされる方は
それなりの準備と慎重に作業をして下さい・・・m(__)m。分解組み立て間違いによる作動不良については
メーカー保障も受けられませんし、私も責任を負いかねますので悪しからず・・・。
でも、ここまで手入れをすると、使い過ぎてガタガタになったリールも新品同様になりますヨ。
高価なリールですし、愛着を持ってメンテしてやる事で、長く使い続けたいものですネ・・・(^_^;)