チロリ遠距離輸送ボトル

キス釣りの特効エサである東京砂イソメ、関西ではチロリと呼ばれるエサですが、

その鮮度を保つのが難しく、釣具店で購入して遠征し、現地に着いたらトロけていたり、千切れて弱らせたりした

失敗は私も何回か経験しています。

チロリは、振動や温度、湿度の変化に弱く、弱ると千切れて血を出し、その血で自己感染するように全部の虫が一気に弱って

使い物にならなくなってしまう事が多いものです。

私も年に何回も遠征し、チロリも地元や京阪神の釣具店で購入して持参しますが、

高価なエサでもあり、なるべく鮮度を落とさずに大会に持ち込みたいものです。

釣具店さんや釣友と交流する中で、チロリの鮮度を保つノウハウをいろいろと勉強し、

水温は大体10〜15度程度、塩分濃度は、河口や汽水域に生息する虫なので、海水よりも若干塩分が少ない水を好み、

振動は嫌います。良く、車で遠征する時に海水タンクにチロリを泳がせ、ブクブクで酸素を送りつつ持ち込む人が居ますが、

これでは車の振動でタンク内の海水がチャプチャプとチロリを揺らし刺激し続け、決してチロリにとって快適では無く、

現地でタンクを開けたら刺激で弱ったチロリが短く千切れ、

真っ赤な海水の中でふやけて殆ど死んでいた・・・なんで事になります。

チロリは適度な湿り気さえあれば、海水の中で泳がせて輸送するよりも元気な虫で、

切れて血を出しても、すぐに洗ってやれば他の虫に感染する事も少ないもので、購入した時の鮮度にもよりますが、

良い状態のものを購入し、上手に保存すれば

10日〜2週間は鮮度を保って活かしておく事が出来ます。

その湿り気を与える海水も、毎日、出来れば半日程度で交換して常に綺麗な状態を保ってやる事が大切ですが、

これがなかなか面倒なもの、面倒であればついついおっくうになってしまうもの。

いろんな事に気を使うチロリの保存、輸送方法ですが、

簡単に湿度を保て、チロリを洗いやすく、海水の交換も手間がかからなくて、しかもチロリに刺激を与えにくい

容器を考えてみました。

購入したのはこれだけ。↓

先ずは、チロリを眠らせる砂ってか砂利。

昔から砂粒の大き目の大磯砂などが良く使われていますが、近年良く使われているピュアブラックと言う

観賞魚の水槽に入れる砂を使います。



真っ黒でまるで砕いた石炭のようですが、見た目よりも比重が軽く、

水の浄化作用も有り、多孔質で表面積が大きく、湿らせるだけで酸素も良く吸収し、ブクブクの必要は有りません。

と言うより、チロリの生きる為に必要な酸素量はとても少ないと思われ、

水タンク中に放り込んだ場合はその水面からしか酸素を供給出来ない為、ブクブクも必要かもですが、

多孔質の湿った砂の中のほうが表面積はとても大きく、余程酸素量は多くなります。

しかもこの砂の中でに潜らせて眠らせる事で

振動でチロリが暴れず、揺らされる事も無く、与える刺激は少なくて済みます。

細かい砂や砂利を使うと比重の重さからチロリを押さえつけ過ぎますし、

砂の中から取り出す時に抜けにくくて切れたりしやすいもの。

でもこの砂なら比重が軽く、スッと引っ張り出せます。


次に容器とザルですが、台所用品でシンクの穴にはめるゴミカゴが便利。

細いチロリは穴の径が1ミリも有れば通過して抜けてしまいますが、

これは小さなゴミもキャッチするタイプで穴の径は約0.5ミリ。

直径は135ミリ。そのザルに合う内径の円筒型のタッパー容器も合わせて購入します。





私は容器が透明なガラスで水の汚れがすぐ判るものを選び

蓋が樹脂製のものを購入しました。ザルの深さの2倍程度の深さ以上の容器を購入します。

ザルにピュアブラックを厚さ1センチ程度に入れ、チロリを置きます。上から静かにチョロチョロと海水を流し込み、

汚れや血を流したのがこの状態。↓




下の容器には、海水をザルの底から1ミリ程度多めに入れてやると、

砂がじんわりと湿って暫くするとチロリがうごめいて砂に潜って行きます。

横から見るとこんな感じ。


海水は、海水に、一日汲み置きして塩素を抜いた真水を20パーセント程度混ぜたものを使います。

水温は10〜15度が適していますが、チロリは比較的低温には強く、7〜8度でも何とか生きています。

この容器と、別途交換用の海水を入れたペットボトルの海水を同じ温度にしてやる事も大切で、



クーラーに厚めのバスタオルで包んだ保冷剤を入れます。分厚いバスタオルで保冷剤を包むと、

保温効果で保冷剤がなかなか溶けずに一日以上は保冷力が長持ちしますし、弱い冷え具合で急激に冷やす事が有りません。

海水もチロリ容器と共に入れて同じ温度で保存、輸送します。

ガラス容器としたのは、水の汚れがすぐに判るようにする為で、

少しでも濁ったら・・・早めに

クーラーから取り出し、容器の海水を捨てます。もちろん、切れたり弱ったチロリも取り除きますが、

素手で触ると体温で嫌がるので、箸で取り除きますが、割り箸は角が有りチロリを傷つけるので丸箸を使います。

そしてチロリにペットボトルの海水を静かにチョロチョロとかけてやり、洗ってあげます。


また下の容器に、ザルギリギリの高さの海水を入れ、

水の更新は完了。車で移動時は少なくても半日に一回はこの作業をしてやる必要が有りますが、

容器の水を捨ててチロリに海水をふりかけて水を切り、下の容器にまた同じ量の水を入れるだけなので

チロリを触ったり、砂をかき分けたりせずに、チロリに刺激を与えずにチロリが洗え、水交換も簡単に出来ます。

ペットボトルにも海水を補充し、次の水交換の為に容器と共に冷やしておきます。

車が急カーブで遠心力がかかると、下の容器の海水がチャプチャプとしますが、時折チャプッとチロリを洗ってくれ、汚れた水は

またすぐ下に流れ落ちます。ザルの目が細かいので、ザブンッ海水が打ちつけてチロリが暴れる事はありません。

仕事で3日間、約800キロ走ってチロリを同行させましたが、半日ごとに水で洗って交換するだけで

まだまだ元気にうごめいていました。チロリ輸送耐久試験、まずまず成功です。


釣り場に持ち込むのは、この容器では大きいので、

きゅうす用の茶こし網で小型のものも作りました。




この大きさなら投げ専用のクーラーにも楽に入ります。

ザルは茶こし用の網。大きな容器からこの小型の容器にチロリを移して

携行すると鮮度が保てますし、↓イシゴカイを入れても鮮度抜群です。

大中小、3種類作ってみました。(笑)



大は、チロリが約2000円分保存可能、中は1000円分程度 小はイシゴカイ用かなと。

中、小のザルは共用です。

もちろん、鮮度の良いチロリを入手する事が大切ですが、

良いチロリを購入し、これで上手に管理して持ち込んて、エサの鮮度で大会で悔やまないようにしたいと思います。

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