最近、「これから投げ釣りを始めるのですが、どんな竿を買ったら良いですか?」とか
「○○の竿と△△の竿とはどう違いますか?」とご質問をよくメールで頂き、出来るだけ
ご質問をされている方の投げスタイルや釣行頻度、投げ釣りに対する思い入れ等、
詳しい事を聞いてからお答えをしていますが、これから投げ竿を購入される方の一つの目安と
なれば・・と私なりに投げ竿を分類し、購入する上でのコツなどを書いてみました。
先ず、初心者の方が陥りやすい購入の仕方で、「最初は安い竿で練習してから・・」と
釣具店で1万円以下の竿を求められる方が居られます。 しかし・・・格好は一応投げ竿に見えますが
1万円以下の竿は一応カーボン竿と書いてあっても実際はグラスロッドに
申し訳程度にカーボンシートが巻いてあるだけの竿が殆どです。
リールシートから竿尻までがとても短かったり、ガイドリングは硬くて耐摩耗性の有る
SICでは無く、ハードリング等の「代替品」で済ませているものが大半で、ガイドのフレームも
柔らかい材質であったり、シートもペラペラのステンレス板の打ち抜きであったりと、厳し過ぎる
コスト削減のあおりをモロに受けた・・・いわゆるバッタものも多数存在し、このクラスは
はっきり言って投げ竿では無く、手は出してはなりません。
「それでも安いからダメ元で・・・」と言われるなら何も言いませんが、せめて投げ釣りをされるのなら
2万円は出さないとロクに投げる事も出来ない、アジのサビキ釣りやチョイ投げにしか転用するしか無い
竿にお金を消費する事になります。
中にはオモリ負荷30号・・な〜んて大書してある竿なんかもあり、そこそこ飛ぶだろう・・と思ったら大間違い。
そのクラスの竿に30号のオモリをぶらさげようものなら、投げる前から竿先は満月状態で竿を振ってもオモリが
いつになったら飛び出すの?と思えるようなボワ〜ンとした反発力で、
いい加減なオモリ負荷表示に誤魔化されてはいけません。
次に・・投げ竿も2万円クラスになると、カーボン含有率も90パーセントを超え、そこそこ使えるものが多くなります。
波止から70〜80メートル投げてのカレイ釣りや
チョイ投げで五目釣り程度を家族で楽しむ程度なら十分使える竿が多くあります。
しかし、やはり単純な構造の投げ竿では、価格の安い物は材質にモロに響き、2万円クラスは
投げる事、釣る事が出来る最低限の仕様で、カーボンも低反発のものが薄いグラスの芯に巻かれており、
粘りはそこそこありますが、投げて爽快感を生み出す、「シャキッ」とした竿は殆ど有りません。
材質がそのように価格とギリギリのバランスで作られている為、竿はヘタリが早く、ガイドのフレームも粗悪で
毎週のように通うなら、3年もすればボロボロになるのが2万円クラスとなります。
よって、「月に一回程度、波止でのんびり投げ釣りが楽しめたら・・・」と言われる方にお勧めします。
次に、ここからは中級品になりますが、3万円クラス。3万円を超えると振り出し竿だけでなく、最低価格帯の
並継ぎ竿も有りますが、はっきり言って3万円の並継竿は振り出し竿の2万円クラスのスペック、価値しか無く、
並継がキスの引き釣りを中心に使われている現状からすると、手は出してはなりません。
一方、振り出し竿は最も激戦区となり、各メーカーがしのぎを削って頑張っており、
カーボンの含有率も95パーセントを超える物ばかりで、ガイドはステンレスのフレームにSICが標準装備となり、
中にはカーボン含有率が99パーセントとかなり高反発なものも最近は多く、
大物釣りやかなりの遠投でカレイ等を狙う場合でも
殆ど不満を感じる事が少ない物が揃っています。
後は好みのデザインや長さ、硬さ等で選べば外れは少なく、
安心して買える価格帯で、2万円クラスには無かったしっかり感、シャキッとした感じも増し、
その気になれば120メートル位は投げられる振出竿が揃っており、
デザイン的にも洗練されたものが多くなります。
次に、5万円クラスですが、先ず並継は、5万円クラスのものを買う人が少ないのか、
案外選択肢が少ないのが現状で、
返って8万円クラスより高価な高級品のほうが良く売れる傾向にあるため、種類は多くありません。
しかし、中身は高級品と殆ど変わらず、塗装やガイドフレームの材質が
少し劣るだけの竿が多く、遠投する為の反発力や竿の感度は
殆ど高級品と変わらず、取り敢えず並継でキスの引き釣りをしたい・・・と言われる方には買って損しない竿が多く、
高級品のような極度なピンピンとした穂先や、ガチガチの硬い胴など、
極端な調子を特徴とした「クセ」を持った竿が少なく、、
とても振り易く、大きく曲げられてきれいに反発してくれ、安易に楽しめる竿が揃っています。
只、高級品よりは若干カーボンの弾性や強度面で劣る為、
高級品よりは竿自体が少し太めの仕上げとなってしまい、若干持ち重りを感じる竿が殆どですが、
長時間神経を尖らせてさびく・・例えば大会などを意識しない釣りをされる方なら、このクラスがお勧めです。
一方、振り出しの5万円クラスとなると、もう最高級クラスになり、竿自体の材質は3万円クラスと大差ありませんが、
ガイド位置が並継ぎ竿と同様の位置になるように工夫されていたり、
塗装に高級塗料を使用し、一昔前なら考えられない程の美しいデザインの竿も多く、
3万円クラスに比べて「個性」を主張している竿が多く、
反発性能も3万円クラスの並継と同等以上のものが現れています。
メーカーも振り出し竿の最高級クラスとして、ある方向性やポリシーを持って企画、設計した竿が多く、
各メーカーにおける振り出し竿のイメージリーダーとしての位置づけであるため、
敢て振り出しの「万能性」や「手軽さ」は払拭し、強烈な印象の有るデザイン、
仕様の竿が多く、自分がどのような釣りをし、どの竿が最も合っているか、
良く考えて買う必要がこのクラスには求められます。
この「個性」「仕上げの美しさ」等が3万円クラスとの2万円の差になりますが、それを安いと感じるか
そんな事に2万円も・・と思うかでこのクラスに手を出すか、出さないかが決まってきます。
要するに、振り出しで純粋に投げ釣りをするだけなら、3万円クラスで必要十分で、
「こだわり」や「個性」の部分が後の2万円にコストとして掛かっているようなもので、
そのような事にこだわるならぱ、「最高級品を使っている・・」と自己満足の世界に浸れますし、
実用一点張りでそんな事に興味が無ければ、全く手を出す必要はありません。
振り出し竿の場合、竿自体の作り、材質は2万円クラスと3万円クラスとでは1万円の差で大違いですが、
3万円クラスと5万円以上のクラスとでは殆ど変わらず、高くなるほど、竿の「性能」よりも「性格」に
コストが掛かっていると言えます。
次に、8万円以上の竿ですが、このクラスはもう並継の高級品のみの世界で、
キスの引き釣りやキャスティングに拘る「マニア」と呼ばれる方に好まれる竿となります。
音響機器で言うなら、2万円クラスの振り出し竿がラジカセとしたら
10万円超の投げ竿はまるで高級オーディオのようなもの、
竿の材質は最高クラスのカーボンが吟味され、
製作過程での巻き方や調子の出し方など、設計者の「こだわり」さえ感じる竿となり、
竿本体だけなく、ガイドフレームは殆どチタン製で、バランスウエイトやオプションのグリップ、竿ケースに至るまで、
マニア好みの仕様に仕上げられていますし、
塗装も硬くて厚めに仕上げられた深みの有るものがあったり、逆に軽量化と反発性能第一にと
塗装レス使用であったりと、並継竿の5万円クラスでは無かった「個性」「こだわり」にお金が掛かっています。
また、更に個性が出せる、スペシャル仕様にも対応出来る様、
ストリップの竿が全ラインナップに加わっている事が殆どで、中には
リールシートも未装着の、ストリップのみの仕様となった竿も有ります。
総じて細身で肉厚仕様の竿が多く、より細く仕上げて空気抵抗を減らし、感度を高めた竿が多く、
超遠投してかすかなキスのアタリも感じられるように設計されており、毎週浜でキスを追っている
キスマニアの皆様(^^)には堪らない魅力を持っているようで、最近少々ムリをして貯金をしてでも
このクラスを買い求める人が増えており、並継竿では売り上げ本数で中級の5万円クラスより
沢山売れているかも知れません。
まあ・・先程の振り出し竿の時と同様に150メートル程度投げてキスのアタリを
楽しみつつ数を釣るだけなら、5万円クラスの並継竿で必要十分なのですが、
最近どんどん増えつつあるキスマニア?の皆さんの後押しのせい(^^)もあって、
この「こだわり」「所有する事の満足感」を求めてか、なかなか良く売れており、
発売当初は品薄状態が暫く続くのも珍しく無く、世の中の不景気風も何処吹く風?と言った具合ですな・・。
私もその一人ですが、欲しいと思ったら昼メシを削ってでも欲しくなる性格で・・・・・(~_~;)
でも時にはイカ釣りや磯釣り、船釣りまでしてる何でも有りのマルチ釣り師でありとあらゆる竿が家中にゴロゴロ・・
では無く、投げ一本ですし、高くても大切に10年も使えば
他の遊びやマルチ釣り師に比べたらまだ安い遊びなのかも知れませんなっ。
やり出すと凝る性格で多分に「どうせやるなら・・」と最近は高い竿ばかりとなってしまいましたが、
5万円クラスの並継竿に無い「個性」「こだわり」「所有する喜び」の為に後5万円以上出せるか・・となると、
やはり投げ釣りに対する思い入れや価値観の違いと言った、個々の問題になり、「是非お勧めします。」とか
「高いだけで釣果はそんなに変わりません」なんて言えない範疇の商品で、あくまでも個人の判断ですなっ。
でも、高級品を使うと、それなりに満足感に浸れますし、丁寧に手入れをし、長く大切に使いますし、愛着も沸きますので、
ベラボーに無駄な買い物とも言えないのでは・・と個人的には思っています。
例えは極端ですが、投げ竿に比べてPCなんかは酷い世界で、
現在例えば30万円もする最高クロックで何でも有りのてんこ盛り仕様のハイスペックマシンでも、
2年後のバリューPCより性能が劣るのですから困ったものですなっ。
んな物と比較するなって?。(~_~;) まあ・・そんな物よりはずっと投げ竿はマシだと言う事で、参考になりました?。(^^)
要するに、投げ釣りのスタイルやこだわり度に合わせて竿選びをしないと、ムダな買い物をしたり、物足りなさを感じたりします。
私も今まで随分無駄使いをしたり、買ってすぐに手放したりして来ましたが、せっかく買うのだから、
自分の釣りスタイルに丁度良い、長く使って愛着が沸いてくるような竿選びをしたいものです。