リールのメンテナンス スーパーエアロチタン編

投げ専用リール、特にキスの引き釣りで使用するリールは砂や石粉、塩分が各部に
付着したり侵入し、ベアリングを錆により腐食させたり、グリス切れ、劣化による
回転不良、異常音が発生しがちです。
特に最近の精度の高いリールは元々ガタが多い安価なリールよりも錆やグリス切れ、
砂噛み等の影響を受けやすく、こまめな点検、メンテナンスが大切です。
一旦腐食やグリス切れによる磨耗を発生させると、簡単なメンテナンスでは直らず
修理、部品交換が必要となります。早めのメンテナンスが大切なリールを故障から守り、
釣り場で気持ちよく使う秘訣です。(私も過去にメンテナンスを怠り、
何台も故障させました。(^^;;;;;;;;;) 
ここではチタニウムを題材にしましたが、どの投げ専リールでも大差ありませんので
参考にして下さい。


メンテナンスに必要な道具と材料 
各種ドライバー、小型のモンキーレンチ(いずれも磨耗やガタが無い物)
綿棒、ティシュペーパー、灯油又はアルコール(洗浄用)又は部品洗浄クリーナー、
スプレーグリス、シリコングリス、リールオイル等の油脂。

メンテナンス実施上の注意点
リールは細かい部品が多く、分解した部品は紛失しないようにトレーに入れ、
分解順に並べておきます。 砂や塩分はきれいに除去し、変色したグリスは洗浄するか
拭き取ります。 組み立ての時はネジ山をつぶしたり、ガタ、隙間等が無い様に
丁寧に組み上げてゆきます。 尚、部品を紛失したり、組み間違いにより故障を
させてしまうと、メーカー保障の対象外となりますので、自己責任で実施してください。

メンテ箇所

メンテサイクル
(ほぼ毎週使用
の場合)

分解写真

分解要領と清掃、
グリスアップ等の
注意点。

ベイルローラー

毎月

ベイルローラーはリールの
機構部分の中で最も砂や塩の
付着が激しく、ローラーは
道糸との僅かな摩擦のみ
で高速回転させなければ
ならない為とてもデリケートな
部分です。
ここには
小さなボールベアリング
が内臓されているが、
このベアリングのグリス
は早く劣化し、すぐに砂や
塩分を含み、回転不良、
錆の発生が起こりやすい。
従って早め早めに分解して
砂と塩を綿棒と灯油又は
アルコールで洗浄し、
粘度が低めのグリスを塗布
しておく。(余り粘度が高い
グリスを使用すると回転が
重くなる。)
もし錆が発生していたら
ベアリング交換をするが
ここのベアリング交換は
比較的容易です。
尚、この部分は分解せずに
ローラーの上から注油しても
余り効果は無く、ローラーの
回転による遠心力で飛び散る
だけなので、分解が必須です。

ハンドル内部

3ヶ月に一回
程度


ハンドル部分も石粉や砂が
付いた手で持つので、異物が
侵入しやすい部分です。
回転トルクも大きいので
少しのグリス切れでも
スムーズに回らなくなります。
錆も発生しやすいので
ここも分解し、洗浄、グリス
アップします。
ここの分解はリールの種類
によっては出来ない場合も
ありますが、チタニウム、
テクミウムはハンドル軸の
切り欠き部分をモンキー
レンチで挟み、固定して
ハンドルを回すと緩められ、
取り外せます。ハンドルを
取ると軸の先端に#2サイズ
のネジが見えますのでこれを
緩めます。 すると軸から
スリーブと2個のベアリングが
外せ、洗浄、グリスアップが
可能です。 ここまで分解して
もし錆が発生していたり
ベアリングが劣化して
いたらハンドルASSYの
交換となります。

スプールの
内側とメイン
シャフト

3ヶ月に一回
程度



スプールの内側の
メインシャフト部分は普段
汚れや砂の付着が目に
付きにくいですが、ここも
砂が侵入しやすく、
メインシャフトが上下動
している為に一旦砂を噛むと
厄介な部分です。更に
メインシャフトにはグリスが
塗布されており、そのグリス
に砂が付着するとリールを
水洗いしたぐらいでは
取れません。
従ってここも分解、洗浄、
グリスアップが必要です。
ここは部品点数が多いので
分解する時に外した部品を
順に並べ、組み立てする時
に迷わなくても良いように
します。 このリールでは
メインシャブトがベアリングで
フローティング構造となっており
ここのベアリングの下までは
外部から砂が侵入しますので、
ベアリングを固定している
ブラケットをモンキーレンチで
外す所まで分解します。
ベアリングまで外すと、
ローターASSYが抜けます
ので、その下のストッパー
機構部分の砂を綿棒で払い
きれいにします。
組み立て時にはベアリングと
メインシャフトにやや固めの
グリスを塗布します。

メインギア
シャフト
ベアリング

3ヶ月に一回
程度

ハンドルのカバーで覆われて
いるメインギアを支持する
シャフトベアリングにも
砂が入り込みます。
ここはカバーを4本の小ネジ
を緩めて外し、綿棒で
砂を払い、グリスを注入
します。

リール内部

半年に一回
程度

メインギアやビニオンギアは
外部から砂等が侵入しない
リール内部にバッキン等で
隔離されており、ここはグリス
の更新が主な作業となります。
他の項でも紹介していますが
一番重要でグリス切れ
させてはならないメインギア
にはその中心部分に多めに
グリスを塗布しておきます。
そうする事でギアの回転により
遠心力で少しづつグリスが
ギアの歯面に移動し、常に
油膜が保たれます。
歯面で擦られた古いグリスは
ギアの周囲に溜まって
ゆきますので、これを綿棒で
除去します。 その他の
シャフトやギアにもスプレー
グリスを塗布しておきます。
メンテナンス
用グリス
呉工業
プロフェッショ
ナルグリス
モリブデン
グリース

ギア及びベアリング、ローラー等回転部分に塗布するグリスは
いろいろと使ってみましたが、
この呉モリブデングリスは滑りが良く
特にマスターギア、ベイルローラーに
塗布するとその回転が滑らかになり、
一回塗布するとグリス落ちも少なく、メンテナンスが楽です。
製品には「極圧部分、長期間注油出来ない部分の
ギア、ベアリング、の潤滑に最適で配合された
二硫化モリブデンが金属に密着し、磨耗
係数の小さい層を形成します。」と説明がされています。
     実際塗布して暫くリールを空回ししていると
     回転音が静かになり、砂、塩分に侵され易いベイルローラーも
     長期間ノーメンテで軽く回ります
     215ミリリットル入りで1000円程度と容量の割りに安く、
     一本買っておくといろいろな部分の
     メンテナンスや防錆に使えます。
リール内部
洗浄スプレー
呉工業
エレクトロ
ニック
クリーナー
リール内部の汚れたグリスやスラッジ、異物の除去にお勧めの
クリーナーです。成分はアルコールで油脂成分の完全除去、洗浄
効果抜群で、グリスでべとべとのギアも吹き付けるだけで
完全脱脂出来、とてもきれいになります。
アルコールなのですぐに蒸発し、拭き取りも不要で、
リールのグリス
入れ替え時に重宝しています。 
ホワイトガソリン等は樹脂部分や塗装部分に
吹き付けると
素材を侵しますが、このクリーナーは樹脂を侵しませんので
樹脂ボディーのリールにも安心して使用出来ます。

他にもベール受け部分等回転部を時々点検、メンテナンスしておくと、滑らかな回転で快適に
使用出来ると思いますし、トラブルも防止出来ます。

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