投げ北天秤2016


私は過去から、「投げ北天秤」を作成して来ました。釣り場でテストし、改良点を持ち帰っては作り直し・・の繰り返しで

改良を重ね、チームでは奥村さんもフイールドテストしては感想をくれ、その意見も取り入れつつ完成度を高めて来ました。

今回お伝えする投げ北天秤2016バージョンでは仕掛け絡み、飛距離、感度、キスの乗り、バレ、作り易さの6点を主な改良点として、

釣り場でテストした結果、ほぼ満足を得られる性能に達したと思われますので、今回改めて発表いたします。

使って頂ける方の為にその作り方も含めてなるべく詳細に書かせて頂きますので、ご愛用頂けたら幸いです。

@ 材料と工具

天秤制作用ループプライヤー

拙者の投げ釣りさんなどで

販売されています。拙者さんでは2,242円

天秤先端の輪っかを作るときに重宝します。   

今回の天秤制作では特に必要は有りませんが、

先が細身のラジオペンチは必要です。
ペンチ、天秤をカットしたり、

スリーブを圧着するのに使用します。

2,000円程度するしっかり

したものを準備します。
ハンダゴテ、

40ワット程度の熱量をもつものが必要です。

1,000円程度で購入出来ます。
ステンレスハンダとフラックスのセット。

ハンダはステンレス専用のものを使用します。

フラックスはステンレス線の

ハンダ付けには必須です。

これが無いと綺麗なハンダ付けは出来ません。

セットで500円程度で購入出来ます。
天秤となるステンレス線は1.0ミリの

SUS304製バネ線を使用します。

これは脱脂されている製品で

ハンダ付けが容易に出来ます。

脱脂されていないとハンダの乗りが

悪く、仕上げの見た目も悪くなりますので

脱脂されていない線を使用時は

パーツクリーナーやアルコールなどで

洗浄してから使用します。
金属用接着剤。

「ボンドG17」 何処でも売ってます。

100円程度です。


外径1.8ミリ、内径1.3ミリ、長さ5ミリの

シングルスリーブ。元来イシダイハリスの

スリーブでニッケル製、ステンレス線と

容易にハンダ付け出来ます。私は以前、

100個入りのお徳用限定品パックを

購入しましたが、

今は販売されていないので

NTスイベル社のシングルスリーブSサイズが

30個入りで販売されています。

30個で500円程度です。

大型釣具店ではイシダイコーナーに

置いてあります。
   東宝産業のエンゼルビーズです。

大型釣具店で購入出来ます。

Mサイズのものを用意います。

1パック200円程度です。

真ん中の穴の径が1.5ミリ程度の

ビーズなら他のものも流用出来ます。
   ヤマシタのツインスリーブSSサイズです。

これも300円程度で大型釣具店なら大概

販売しています。

超弾性直線記憶合金素材の

先端を曲げて圧着するときに使います。
   天秤の先端に取り付けて

モトスのチチワとの結合に便利なスナップです。

100円程度です。
   投げ北天秤2016バージョンの要、

吉見製作所さんの0.7ミリ径

超弾性特性直線記憶合金
です。

チタン、クロム等の合金で

表面はスベスベでハンダ付けは

容易では有りませんが今回は特殊スリーブを

使って天秤と結合します。

長さ1メートルのものが2本で1,650円と

高価ですが、曲げるのは容易なのに

かなり強くヒン曲げてもクセが付かずに

一直線にビシッと元に戻る特性を有します。

しなやかに曲がってくれるので

キスの食い込みは良く、そのビシッと戻る

特性でキスの掛かりも抜群、

キスが掛かった後はまたしなやかに

曲がって暴れるキスのアタリを

受け止めてくれてバレも最小と

今回の天秤作りの要です。
   その直線記憶合金とステンレス線を結合する

スリーブが、鱚介オリジナル工房さんが

開発、販売されている異口径スリーブ


SUS304、半分が内径1.0ミリ、

もう半分が0.8ミリと異口径で長さは20ミリ。

太さの異なる線を接合する為のスリーブです。

A 天秤の作成手順

   ステンレス1.0ミリ径の天秤制作用バネ針金

の先端をこのように曲げておきます。

通常の天秤はこの部分がまん丸の

輪っかですが、力糸側のスイベルとの結合部

はこの形状のほうが、加工も容易で

スイベルがまとわりつくトラブルも減ります。
   その曲げ部分をステンレスハンダで

ハンダ付けして仕上げます。
   エンゼルビーズを通して・・・
   次にニッケル製スリーブも通します。
   天秤の上端から10センチの位置で

曲げます。曲げ角度は120度程度とします。
 その曲げた部分でニッケルスリーブと

ステンレス線をハンダ付けします。
   曲げた部分から9センチの位置でカットします。

50センチのステンレス線1本で

天秤を2本作れます。
 その先端に異口径スリーブを通して

ハンダ付けし、固定します。
  0.7ミリ径 超弾性直線記憶合金を

ペンチで8センチにカットします。
   片方の端1センチ程度にボンドG17を塗布し

スリーブに通してペンチの刃の部分で

軽く挟んで圧着し、固定します。

ボンドG17と直線記憶合金は親和性が

高く、これだけでシッカリと結合出来ます。
   直線記憶合金の先端を

ラジオペンチでグイッと曲げて

ツインスリーブSSサイズでこのように

圧着して輪っかを作ります。
   出来た輪っかにフックドスナップを通して

付けておくと、モトス先端のチチワとの

結合に便利です。
   これで、投げ北天秤2016バージョンの完成

です。今回は鱚介工房さんの

異口径スリーブのお陰で、

天秤本体と超弾性直線記憶合金の

繋ぎ目が細く、殆ど目立たない細さで

結合出来、空気抵抗の面でも有利な

新天秤を作る事が出来ました。
   下が標準仕様、

天秤と超弾性直線記憶合金の

接合部分が細く仕上がり、以前のものに

比べて空気抵抗が少なくて良く飛びます。

上が天秤の足と

直線記憶合金を1センチづつ長くした

飛距離面では少し不利なものの、

3〜4色以内の距離で

中小型キスを狙う場合、

15本針程度の多本針仕掛を扱っても

仕掛絡みが少なく、食い込みも良い

タイプです。
   飛行時はこのような姿勢で飛んで行きます。

実際は天秤の足が弓なりに曲がった状態で

飛びますが、細身でピンッと張った

直線記憶合金のお陰で

空気抵抗が少なく、良く飛ぶのに

仕掛け絡みは少なく仕上がりました。
   さびいている時はこんな感じ。

 最近ではフロートシンカーや、
   木の浮力を利用した木オモリも

沢山出回っていますが、殆どは先端に小さな

丸い輪っかが付いているだけなので

投げ北天秤との共用は出来ませんでした。

しかし、このようなオモリにも対応しようと考え、

市販の木オモリやフロートタイプのオモリを

使う時は、画像の右下に有る

ステンレス線の0.8ミリ径のものを

曲げた結合部品を作って対応する事にしました。

 
 このように曲げて先端の

輪っかをハンダ付けします。

   これで、通常の木オモリやフロートシンカーも

投げ北天秤で使用出来、

オモリの交換も容易、投げ北天秤の特徴である

超高感度なキス釣りが楽しめます。
   直線記憶合金線は、この程度までなら

小さな力で容易に曲がります。

キスが違和感無く吸い込み、エサを咥えて

逃げようと走りますが、天秤の抵抗に負けて

少しでも引き込みが弱まった瞬間、

そこからビシッと元に戻る特性です。

いわゆる「向こうアワセ」の動きが

とても素早くて強く、その反発力で

針がブスッとキスの口に掛かり、

確実に向こうアワセが掛けられます。

エサを咥えて走るキスが

走るのを弱めた瞬間や反転した瞬間に

間髪を入れずにバシッと反発して

針先がキスの口を強く、深く貫通するイメージで、

これを使うようになってからは

針を呑み込んで釣れるキスに対して

唇に針がかりして釣れるキスが

ハッキリと増えました。

  グイッとキスが引く、直後にピシッと素早く戻る、

の繰り返しでキスが連で掛かり易く、

通常の天秤に比べて

針先が強い力で深く刺さる為、

バレも少なくなります。

以上、投げ北天秤2016年バージョンの紹介でした。今後も釣り場で試してはカット&トライを重ね、

改良してゆきたいと思いますが、天秤はシンプルイズベストな面も有り、形状的には仕掛け絡みの少なさの面や、作り易さの点でも

現状ではこれがベスト。これからはもっと多くの人にも使ってもらい、意見も取り入れつつ改良を重ねたいと思います。

投げ北トップへ。  道具いじりトップへ