超小型軽量クーラー最終調整編
発泡剤注入による保温力増強改造
クーラーの保冷力には製品によりかなり差が有り、その保冷力は内部に使用されている
断熱材により左右されるようです。

先ず最初にこれは安いクーラーや小型の機種に多いですが
発泡スチロールを容器状に成型しそれを外容器と内容器の間に
サンドイッチしただけの簡単な構造としたもので、
内部には隙間が多く、カタログ等で保冷力の
目安表示がされていない製品がこれにあたります。
今回改造に使用した小型クーラーもこの種類になり、ネジ等で余り多く穴を空けると
発泡スチロールが割れたり、隙間から容器間の空気漏れが発生し、保冷力が
劣化しますので、改造時はなるべくネジ等は使わないような工夫が必要です。

次にカタログ表示で保冷力2倍程度の表示のものは
保冷剤に発泡ウレタンと言う発泡剤を充填したもので、
外容器と内容器との間に隙間無く発泡剤が注入され、
隙間が無いために当然保冷力はアップします。
ネジを使って穴を空けてしまっても貫通さえしなければ保冷力の低下は
少ない構造でネジを多用する改造に向くクーラーだと思います。
このタイプのクーラーでも蓋の部分には発泡ウレタンが注入
されておらず、ここだけは発泡スチロールの板が入っているだけの製品も多く、
蓋部分の保温力により、2.3倍とか1.7倍とか言う微妙な表示分けがされているよう
です。

最後に保冷力3倍程度かそれ以上の表示のクーラーは
断熱に真空パネルを使用しており、これは魔法瓶と同じように外容器と内容器の
間に真空層を設け、保冷力を最も高めたものです。構造も複雑で高価ですが、
これも蓋部分の断熱方法はウレタン注入や発泡スチロールのサンドイッチ構造から
この部分にまで真空パネル構造としているものまで有ります。
全面真空構造のものは価格も3万円前後となりますが、
真夏の暑い時期に遠征する時にはこのようなクーラーが必要かも?。
今現在この保冷構造を採った投げ専用クーラーは有りませんが、
暑い時期とは言え、半日程度の使用が多いキス釣り用などでは、ここまでの
保冷力は必要無いのかも知れません。
このタイプのクーラーにはネジの使用は厳禁で、
ネジで内部の真空パネルを突き破るとタダの箱となっていまいます。

前述のように、今回使用したクーラーは最も簡易な発泡スチロールサンドイッチ構造
なので、保冷力を2倍程度とする為とネジを使用しても保冷力が低下しないように
発泡ウレタンを注入し安いクーラーの欠点を補う事にしました。
但しこれも作業に失敗するとメーカー修理は不可能となりますので
自己責任で行って下さい。

クーラーの
分解
先ず上蓋を止めているヒンジのネジと
バックルのネジ、本体底面のネジを
外し、外容器と内容器の間にマイナス
ドライバーをこじ入れてひねると外容器
と内容器が分離し、左の写真のように
分解出来ます。内部には5ミリ圧程度の
薄いペラペラの発泡スチロールが
サンドイッチされているだけで、
保冷力はやはり1倍と言った所か・・・
これでは魚屋で使っている
発泡スチロール
容器の方がずっと肉厚だと
思います。(^^;;;;;;;;;
発泡剤の
注入
先ず発泡剤の液が漏れないように
粘着テープで底部の
ネジ穴を目張りをしてから
市販されている配管工事の断熱
に使用する発泡ウレタンスプレー
のノズルを外容器と
発泡スチロールの間に差し込み、
噴射します。
5倍程度に発泡するので
余り多く注入する必要は無く、底部に
少ししみこむ程度で十分です。

注入直後
の様子
次に発泡スチロール容器の内部にも
この程度噴射します。
すぐに大きく発泡してきますので
手早く内容器を発泡スチロールの中に
差し込み、元の状態に戻します。
この時点ですでに上写真より外容器が
外部に押し出されて張りが
出ているのが解ります。
乾燥と
仕上げ
20分程度放置すると上部まで発泡が
進み、ネジ穴から発泡剤が出てきます。
(この状態になったらクーラー内部は
完全に発泡剤が充填されており、
隙間はウレタンで埋まっております。)
噴出した発泡剤を拭き取り、
バックル、ヒンジのネジをねじ込み、
組み立てを完了し、
そのまま半日程度また放置します。
完全乾燥すると、今まで叩くとボンボン
と音がしていたのが、
コンコンと「高級」な
音に変わります。

この後装備を再装着し、2回目の試運転に向かいましたが、前回と同じような気温と使用時間ながら
前回は半分程度溶けていた袋入りの保冷剤が、改造後では家に持ち帰っても未だコチコチで
ほんの少し溶けかけている程度でした。 予想以上の保冷力アップに驚いていますが、
これは元々一番安いクーラーで保冷力が貧弱だった上にネジを多用していた為にその差が大きく
出ただけだったかも知れません(^^;;;;;;;;;

ただ、以前にシマノの投げ名人クーラーにも試した所かなりの効果がありましたので、
この発泡剤自体の性能もかなりの物かもと思っております。
また、シマノの投げ名人等分解出来ないタイプのクーラーも有りますが、その場合は
底部の目立たない所にスプレーのノズルのパイプ径と同じ大きさの穴をドリルで空け、
その穴から注入します。
発泡、乾燥後は空けた穴はパテで塞ぎ、気密性を維持するようにします。
蓋部分に注入しても効果的で、これもかなりの差が出るようです。

作業の注意点としては、発泡剤は乾燥していない状態ではとても粘度が高く、衣服や手に付着すると
少々洗っても落ちません。 更に「5倍程度以上に発泡する」事を考慮し、注入しすぎに注意します。
多く注入しすぎると泡が吹き出して組み立てやパテでの封入が不可能となるだけでなく、
クーラーのボディー自体が私の脂笑の腹のようにぷっくりと膨れ上がり
パンパンになってしまいます。
昔のクーラーに愛着が有るが、保冷力が・・・と思っておられる方や、ネジを多用して改造される方には
お勧めの改造法ですが、前述しましたように、
作業の失敗によるトラブルの責は負いかねますので
あくまでも自己責任で改造をお楽しみください。


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