カッ飛ばし、高速サビキ釣法

遠投からの高速サビキでキスを釣る方法がある事は「キス、3時間で100匹を狙え」の項で簡単に

紹介させて頂きましたが、私もここ数年、夏場から秋までキスの活性が高い時期には

積極的にこの釣法を試しており、ある程度の実績もあげられるようになりました。

その利点や実際の釣り方等も大凡理解できましたのでここで改めてご紹介します。

尚、ここでの釣り方は6色以上の遠投から毎秒50センチ以上で仕掛けを引く釣り方を

前提にご説明します。   

高速サビキの利点

@ 投擲から巻き上げまでの時間が短く、時間当たりのサビキ回数が増え、効率的。

A 仕掛けを常に張って引き続けるので仕掛けが緩まず絡みが少ない。

  波、砂紋、風等の影響をあまり受けずに仕掛けを引ける。  

B 外道が釣れる確率が低い。夏場から秋はフグ、ミニチャリコ、ガッチョ、カワハギ、

  アジ、等多くの外道も活発になるが、高速で引くとこれらの外道は釣れにくい。

  但しベラだけは別でキスが追って来ないような超高速でも追ってくるが

  完全な砂地にベラは殆ど居ないので問題にはなりにくい。

C 潮流の早い場所でも影響が少ない。 普通の引き方ではどんどん左右に流される

   ような場合でも高速で引き寄せると流される距離が少なく、隣の人とのオマツリも

   避け易いし、自分がポイントと思っているラインを引き易い。

D 針先の劣化が少ない。 海底から仕掛けが浮いた状態で引き続けるので

  針先が砂に接触しにくく、砂で削られる事による針先やモトスの劣化が少ない。

E 追い食いによる仕掛け絡みが少なくなる。 良型のキスが何本もの針を次々と

  追い食いすると仕掛けが絡んでしまい、次のキスがエサを追わなくなるが、

  高速で引くのでキスが複数の針を飲む事が少なく、連で釣れる確率が高い。

F アタリが大きく出る。 キスがエサを食い、針掛りすると反転してアタリが出るが

  こちらも高速で引いているので反転した時のアタリが大きく出る上にしっかり針掛り

  させられる。 仕掛けをピンと張って引き続けているため針に掛かったキスが自由に

  暴れる事が少なく、一匹づつ確実にアタリを捕らえられ、何匹掛かったか判断しやすい。

  感じとしては「コツンッ・・プルプル」で一匹、また次の「コツンッ・・」でまた一匹の感じです。

G キスを針から外しやすい。 高速で引くとキスが針を飲み込む事が少なく、殆どキスの唇付近に

  針がかりします。その為小針でも外しやすく、手返しが早いので効率的に釣る事が出来る。

高速サビキの欠点 

@ 投げ返しが激しく、疲れる上に道糸の消耗と劣化が早い。

A キスの活性が低い時にはこの釣り方では殆ど釣れない。

B カケアガリや溝が発達している釣り場では高速で仕掛けを引き難い上に、狭い範囲にキスが

  群れているポイントをサッと仕掛けが通過していまい、連で釣れない。  

C セイゴ、ヒラメ、マゴチ、エソ等にエサや針掛りしたキスを「目撃」されやすい。

  これらの魚は高速で引くほど追われる確率が高く、狙われると仕掛けを一撃で

  ボロボロにされてしまう。    

@ タックル 

竿    遠投からの高速サビキなので、竿は遠投が利く硬調子で軽く反発力の強いハイカーボン竿で

     先調子のものが適しています。 具体的には錘負荷30号以上で4.05メートルか4.25メートル

     程度の長さのもの、トラブルが少ない並み継ぎ竿が良いと思います。

リール サビキ速度が高速なので、なるべくベアリング数が多く、滑らかで軽い回転をするリールが

     理想的。スプールも大きめなものが適しています。 遠投が利きにくい小径スプールや

     重いドラグ付きリールは適しておらず、軽量で精度の高いものを選びます。

道糸  遠投が必要なのでなるべく細いPEが適していますが、高速での頻繁な巻き返しにより劣化も

     早いので、0.6号以下は耐久性に問題がありそうです。 色落ちも細い道糸程早いようですし、

     1号から0.6号程度で撥水加工が施された、色落ちが少ないものを選びます。

     別途コーティング剤を塗布しておくとトラブルも少なく、劣化も防げます。

     ナイロン糸は伸びが大きく高速で引くとオモリをピョンピョン跳ねるように引く事が多くなり、

     キスの乗り、バレの両面で不利だと思います。

力糸  力糸はナイロンでもPEでも使えますが、アタリがより鮮明に出る事と、

     ヨリがかかりにくい点で私達はPEを使用しています。    

天秤オモリ かなり遠投するので27号以上の片天秤で固定式が適しており、

     投げる時の絡みも少なく、遠投が可能です。

     天秤の足は短めの方が空気抵抗が少なく遠投には有利で、

     アタリも大きく感じる事が出来ます。

     逆に足が長いものは絡みの面で有利なように感じますが、絡むのは投げ方で

     大部分が左右され、天秤の足が3センチ程度長くても、殆ど絡み率には差が出ません。

     天秤の足は硬め、短めのほうがキスのアタリをはっきり捕らえ、針先の奥までしっかり

     針掛かりさせる事が出来、バレを防げます。

     足が長めでバネが柔らかい天秤の足ではキスが引き込むままに曲がり、

     針掛かりが浅くなり、アタリは小さくなります。

モトス キスの活性が高い時期での釣り方なので、モトスはしなやかなナイロンよりも

     張りの有るフロロカーボンのほうが絡む率が低く、耐久性も上です。

     太さは2号程度で良く、天秤から一本目の針までは長く取り、2メートル程度とします。

     これに針数は8本程度とし、針間隔は30センチ程度、全長4メートル程度となります。

     針間隔は短めでも一匹のキスが複数の針を飲み込み難いので仕掛け絡みの面では

     キスの型が小型ならばあまり長くする必要は有りませんが、時々15センチ以上を超えるキスが

     混じる時は針間隔を30センチ程度に長くします。先に針掛りした中、大型が間隔狭く高速で

     次々と通過すると、キスとキスの間の未だエサが付いている針をキスが食い難い

     ようで、いわゆる「飛び飛び」で釣れ、パーフェクト率は低下するようです。   

ハリス ハリスは高速で引いても水圧に耐えて垂れ下がらず、

     モトスに絡まないように長くても3センチ程度と短めにします。

     材質はテトロン系が張りが強く、仕掛けさばきも良いものです。

     太さは1号から0.8号程度とします。

    針は通常の引き釣りに使用しているものと同様で良いのですが、

     高速で引いているときに大型が「ガツン」とあたると軸の細い伸び易い針は

     変形してしまい、バレる事もあります。更に針が口の硬い所に深く刺さる場合も

     多く、それを少々強引に外すにはある程度の強度をもった針が必要です。

     秋田キツネやキススペシャルの5号程度が使いやすく、掛かりも良いと思います。

     但し7号以上の大きめの針は高速サビキでは食い込みが悪く、適していない上に

     遠投の面でも不利となります。

釣り方 

    キスの活性が高い梅雨明けから10月頃までがこの釣り方の適期で、晴天で波が穏やかな日で

    水温が25度程度ならどこの砂浜でも試す事が出来ます。

    エサはイシゴカイを針いっぱいかほんの少し垂らす程度に小さく付け、

    出来れば仕掛け絡みが少なく、遠投出来る投法であるV字や回転投法で

    出来る限り遠投し、さっと道糸を張り、そこから高速で引き始めます。

    最初の一投目はやや遅めに引き、キスの群れている距離と追う速度を探ります。

    次からは一投目よりもアタリが出た距離の範囲をやや速度を速めて引いてみます。

    大体一秒50センチ程度でも追うようなら高速サビキの条件はバッチリ、次第に

    スピードを上げ、連で釣れる上限のスピードを確かめます。

    上限のスピードが判れば後は簡単。その速度で一定速を保ち、アタリを楽しみ

    ながら、キスが一匹づつ針に掛かるのを確認しつつ、釣り続けます。

    針数に近いアタリが確認出来れば、巻き上げにかかり、後は通常の引き釣りと

    同様に処理します。

    何回も投げ返す事が多いので、活性が高い時期の釣り方であっても、移動は頻繁に行い、

    キスにプレッシャーを与えてしまって、低速でしか食わなくならないように気を付けます。

    針の変形やハリスの張りの劣化による垂れ下がりにも注意を払い、ある程度投げ返せば

    早めに仕掛けを交換します。

以上、遠投からの高速サビキの実際をご紹介しましたが、キスの活性が高い時期には

アタリが次々と出る上にとても大きく感じられ、楽しい釣法です。V(^-^)

特に丹後半島の北に面した海岸である浜詰や八丁浜、平浜ではこの釣り方で100匹以上の束釣りを

何回も経験出来、私自身も病み付きになってしまいました。

このあたりのキスは少々の波でも活発にエサを追い、性格が荒い?のか

若狭湾内のようなゆっくりした引き方では仕掛けがすぐにキスバナナ状態となる事も多々あり、

そのような時こそこの釣り方が真価を発揮します。

皆さんも夏から秋にかけて、この釣り方を試してみて下さい。 きっと「ガッッ・・ブルブル」の連続が

楽しめると思います。

HOME