ラインの使い分け。

投げ釣りの仕掛けはどの魚を狙う場合でも道糸、モトス、ハリス、そしてキス、カレイ釣りなどでは力糸も必要となりますが、

今回はどのようなラインがどの部分に最も適合するか、データや特性を比較しながら

書いてみようと思います。先ずラインの特性を表で比較しますと・・・

ラインの種類 直線強度
(1.5号)
目安です。
結び
強度
張り 根づれ
に対する
耐摩耗性
透明性 比重 吸水性 伸び率 糸ヨレしやすさ 価格
ナイロン 3.2Kg 締め
付けると
伸びて
細くなり
強度は
かなり
落ちる
しなやか キズ付く
と容易に
切れる
最も透明
だが吸水
すると
白濁する
普通 良く
吸水
する
良く伸びる
粘りが有り
太い糸は
根ががり
しても
なかなか
切れない
張りが弱くて
糸ヨレしやすい。
糸グセが付くと
直らない。
安い
フロロ
カーボン
4.3Kg 締め
付けても
細くなり
にくく
強い。
適度に
張りが有る
キズ付いても
断裂しにくく
強い
透明に近い
がやや濁って
いる。
重い 殆ど
吸水
しない
少し伸びる
が粘る。
有る程度
伸び切ると
強度が
急に落ちて
切れ易い
糸ぐせが付くと
強く引く事で
クセが有る
程度取れる。
やや
高価
テトロン 2.8Kg 締め
付けても
伸びにくく
結構強い
シャキッとした
張りに富む
キズ付くと
容易に
切れる
透明 やや
重い
吸水
しない。
少ししか
伸びない
粘りは無く
強く引くと
すぐ切れる
糸ぐせが付いても
強く引くと元に
戻せる
安い
PE 11.4Kg 結ぶと
かなり
弱くなる
電車結び
では
40%程度
まで落ちる
殆ど張りが
無い
弱い
カキ殻
などで
あっけなく
切れる
透明なものは
無い。
軽い 吸水
しない。
殆ど
伸びない
強く引くと
結び目から
あっけなく
切れる。
糸ぐせが殆ど
付かない
しなやかさ
に富む。
高価

と・・私なりに比較しましたが、これは1.5号程度の比較で一概に言えませんが、上の表からおのずと

対象魚や釣り場の環境に合わせてラインを選ぶ事が大切なのが判ります。

道糸

先ずキスの数釣り用の道糸ですが、特性として、「遠投重視の細ラインでも強度に富み、ガイドや竿先に絡みにくいしなやかさ、

そしてキスの小さなアタリもきちんと竿先まで伝える感度を持った糸が必要」となればPEラインが最も適しています。

次に磯投げなど、50センチ以上の大物を対象とした場合は

「粘りが有り、強く引いても伸びる事で衝撃を吸収し、根づれなどで頻繁に巻き替えでもコストがかからない。

また、風に強くて沈みも早めな」必要が有り

今でも投げの大物専門分野ではナイロンラインに根強い人気が有ります。

また、カレイ釣りなどでは余り根づれは無い為、最近はPEの3〜5号が人気です。

伸びは無くて粘りは無いですが、カレイのチョコッとしたアタリをしっかりと捕らえられて強度も高く、

根がかりにも直線強度が高くてオモリの回収率が高いので好まれています。

太めのPEを使う場合は力糸を省け、結束強度が弱いPEの欠点を克服出来、使用する人が増えています。

力糸

力糸は、道糸以上に磨耗し、投げた時の衝撃も加わるので早めに巻き替えます。

投げた時の衝撃を伸びで吸収して投げ易いので以前は安価なナイロン一辺倒でしたが、

キスの数釣りの場合は竿の振りによる反発力が糸が伸びる事により弱まらず、ダイレクトにオモリに伝わり、

慣れるとナイロンより遠投出来、アタリも強く出るPEが好まれるようになりました。

但しPEの力糸は慣れるまでには少し練習が必要で、糸が指から離れるタイミングがずれると方向性が悪くなります。

高価なので根が有る釣り場では使用出来ず、完全な砂浜でのみ使われています。

フロロカーボンの力糸は未だ販売されていません。

張りが強くてリールのスプールになじみ難い太めのフロロカーボンはスプールから放出した途端に大きく螺旋状に

膨れ上がって飛び出す為、ガイドや竿を激しく叩く結果となり、力糸はおろか、以前発売された細い道糸でも

当初は沈みが早いとか、吸水せずに強度が強いとか注目されましたが、余りにも摩擦が大きくて飛距離が出ない上に

着色が困難で仮にしてあっても殆ど色の見分けが付かない程度のもので、

殆ど人気は出ませんでした。 糸の特性を考えずに作ってもダメな一例ですね・・。

モトス

次にモトスですが、これは「クセが付きにくく、適度な張りが有って絡みにくい、そして結節強度が高くて強い

且つ海底にズルズルと擦れても磨耗しにくい」糸が

求められ、この部分はフロロカーボンや太めのナイロンの使用率が高いようです。

私もキスの数釣りでは1.5〜2号、そしてカレイ釣りなどでは5〜8号のフロロカーボンを使っていますが、

磯投げの大物釣り志向の方は粘り強いナイロンの10〜15号程度のものも良く使われています。

エダス

エダスはモトスに絡み付かない張りが求められ、ナイロンラインの細糸では

かなり短く切って使わないとすぐに絡んでしまって使い物になりません。

よって0.8号程度の細糸を使うキスの数釣りでは最も張りが有って

ヨレても強く引くと元に戻せ、伸びが少なくて感度も高い

テトロンが好んで使われ、私もホンテロンやアクアキングを愛用しています。

カレイ釣りや磯の大物狙いではフロロカーボンがこの部位には最も適合し、

強い結節強度と強めの張りで絡みにくいので好んで使われます。

ハリス

ハリスは適度な張りと、強い直線強度が求められ、

モトスとの結束強度も求められるのでフロロカーボンが主流ですが、

力が弱いキス釣りなどではテトロンの細糸も良く使われます。

大物狙いではフロロカーボンがこの部位に最も適合し、強い歯を持った対象魚でも合わせ切れしにくく、

良く使われます。また、キスの大物など、警戒心が強くて歯がそれほど発達していない魚の場合はナイロンも

しなやかで食い込みが良く、愛用されています。

と・・・ここまで書いて来ましたが、昔はナイロンしか無く、道糸もハリスもナイロンのみで、太さを変える以外に

選択肢は有りませんでしたが、今は釣具店に行けば100種類以上の糸が並んでいます。

未だに市販仕掛けなどではコストの面からナイロンのみで作られたものが殆どで、(一部フロロカーボンやテトロンを

使ったものが出ていますが、市販仕掛けでは高価な部類になります)適材適所に糸を使い分けるにはやはり

仕掛けは自作する事が一番ですね。

もちろんナイロンのみの市販仕掛けでも釣れますが、絡みや強度、耐久性の面では糸の特性の応じて

丁寧に作った自作仕掛けにはそれなりのメリット、理由がある訳で、特にキス釣りでは海況や魚の食い気によっては

市販仕掛けで殆ど食わないのに自作仕掛けでバコバコなんて事も多々あります。

カレイ釣りではそれほどでは有りませんが、やはり耐久性や絡みにくさでは自作が有利ですし

長さや太さも自分好みの仕掛けが作れます。

最後に、今私が使っている糸を並べてみました。

どれも釣具店で容易に入手出来、使ってお勧め出来るものだと思います。

先ずキスの数釣り用に使っている糸ですが、

右上から
サンライン社 スーパーキャストPE投げ0.6号
(遠投用道糸で色落ちしにくく、滑りも良い
価格も安めで使いやすい)
ゴーセン社 テクミーWin砂紋スペシャル0.8号
(中、近投用道糸で投げ返しの激しい時には
この糸が対磨耗性も高くて色落ちも少なく
しなやかで糸絡みも少なく好んで使っています。)
サンライン社 スーパーキャストPEテーパー
1〜6号(力糸でしなやか、色落ちしにくい)
サンライン社 BASIC FC1.5号
(大量に消費するモトス用は
300mで1200円のこの糸がお得で
お気に入り。価格の割りに
品質が良く、ステッカーのおまけ付き
とお勧めです。)
東レ社 トヨフロンLハード1.7号
(モトス用、適度な張りが有り、絡みにくく
フロロカーボンの中では良く安売りしている。)
東レ社 トヨフロンスーパーL0.8号
(先針のハリス用 Lハードよりも強くて張りも
有り、フグにも強い。)
ゴーセン社 ホンテロン蛍光グリーン、ピンク
0.8号 (エダス用 通常のキスの数釣りで
多用している。釣り場や天候によって
グリーンとピンクを使い分ける。)
ゴーセン社 アクアキング1号
(張りがホンテロンよりも強く、強度も高い
フグが多い時に強くて切られにくいこの糸を
エダスに使っています。)






次に、カレイ釣りで使っている糸ですが、

右上から、
ゴーセン社 テクミーWin砂紋1.5号か2号
(カレイ釣りでは流れが速い所や風からの影響を
避ける為に1.5号程度と細めの道糸を多用
しています。これでも強度は十分で
魚に引っ張られて切れる事はありません。)
ゴーセン社 テーパーライン力糸
4〜12号(強度的に1.5号のPEラインと
バランスが良く、10本継ぎの
お得なものを買っています。

クレハ社 シーガーGRANDMAX6号
(カレイ釣りのモトスに使っています。
強度はフロロカーボン糸の中でも最強の部類で
結節強度も高くて適度な張りも有り、
一寸高価ですが、好んで使っています。)
クレハ社 シーガー130メートル巻き8号
(お得企画のこの糸も良く使っており、
8号もあれば強度も高くて張りも強く、
こいつが切れる事は先ずありません。)
東レ社 トヨフロンスーパーL4号

(カレイ、スズキ釣りの時に良く使い
張りが強くて強度が有るのでエダスに
良く使っています。
クレハ社 シーガーGRANDMAX3.5号
(カレイ釣り等、大物狙いの時のハリス用で
主に先針にこの糸を使っています。
歯が強い対象魚でも安心して使えます。)





こうして並べてみただけでも15種類の糸を使い分けている訳ですが、糸を軽視して投げ釣りは成り立ちません。

これからもいろいろと多くの新製品が出ると思いますが、糸の特性を上手く生かしつつ、

絡みや根ずれに強い、遠投が利く、など、今後もいろいろと使ってみて、トラブルに強くて快適で、魚が良く釣れる糸を

模索しつつ上手く使い分けてゆきたいと思っています。