ちょっと工夫 石粉
今やキスの数釣りに石粉は不可欠のアイテムですが、その種類はいろいろ有り、
今現在販売されている物は、本当の岩石を砕いて粉にしたものや、ガラスを研磨
する時に出るガラス粉末、陶芸の土を乾燥させた物などが主です。
これらは原料のコストが低く、販売価格も安い物です。
しかしこれら岩石系の石粉にイシゴカイをまぶすと石粉の成分を嫌がりクネクネとして
いる内に乾燥し弱りが早いのが特徴です。
特に盛夏のカンカン照りの日などは10分もそのままにしておくと水分が奪われ、硬くなり、
瑞々しかったゴカイが細くなり、全長も短くなります。
また、イシゴカイに付いている水分を石粉が吸引して湿ってくるとまぶしにくく、すべる事も
多くなります。
そこでキスマニアと呼ばれる人たちは卵の殻を砕いたり、岩石系でも園芸に使う「鹿沼土」
と言う焼成土を砕いたりして使用している人もいます。
これらの粉は岩石系の粉末に比べてイシゴカイを弱らせる成分である鉄分やマンガン
などを含んでおらず、特に卵の殻はベタ付いても使用できると好評のようです。
卵の殻や鹿沼土は表面に無数の小さな穴が開いており、顕微鏡で見るとスポンジのように
見えるらしく、それを粉末にすると粉末の表面の凹凸や突起がとても多く、
摩擦係数が高いので「スベリ」がとても少ないのが特徴です。
しかし、卵の殻を粉末にするには多くの殻をスリバチで何回も粉砕することが必要で
その上に陶芸用の陶器のスリバチでキメの細かい粉末にせねばなりません。
鹿沼土は簡単に指先でつぶす事が出来ますが、一旦水と混じり湿ると固まりやすいのが
欠点です。また、卵の殻と違い元は岩石系なので、手に付いたままキャスティングを
くり返しているとリールの足や竿の握っている部分の塗装を摩擦で痛める事があります。
先日、クラブの先輩から「コウイカ」の殻を使ったらとても使い勝手が良かったと教えて
もらい、試してみました。 たまたま浜詰で釣りをしていたらコウイカの骨(殻)が
浜に打ち上げられており、拾って爪先でひっかいて粉末にして使用してみました。
真っ白な粉末でとてもキメが細かく、イシゴカイにまぶしても嫌がってクネクネしませんでした。
水を含んでベタベタのシイゴカイにほんの少しまぶすだけでしっかりつまむ事ができます。
また、今まで使っていた石粉に少し混ぜるだけでも、つまみ易さが随分違いました。
コウイカの殻は海岸のあちこちに打ち上げられており、浜を歩いて移動する時に
ちょっと注意して歩けば、いくらでも拾えます。 太平洋側などで拾う機会が少ない方は
スーパーやホームセンターのペットコーナーでインコのエサとして販売されていますので
これを利用する手もあります。
この殻を海岸で利用する時は爪先で使う分だけ「カリカリ」と引っ掻けば粉末になりますし
家で多く作る場合は「おろし器」でダイコンをおろす要領で粉末にします。
「やはり海の生き物は海から得られる粉が良いのかなぁ。」などと思っておりますが
海岸で拾えば今まで私が使った中では最良の石(殻)粉がタダで手に入りますので
お試し下さい。