藤村製作所さんの 投げ北仕様サイドボックス


先日、投げ北HPからリンクさせてもらっている「ステンレスインテリア工房 藤本製作所」の藤本さんから突然メールが有り、

「最近釣り用サイドボックスの引き合いが多くなったのですが、その中で「投げ釣り北近畿のHPを見て知ったのですが・・」と

言われるお客さんが居られるので、今回投げ釣り北近畿さんにボックスの仕様などをご検討頂き、もっと良い物を

作ろうと思っていますが、当方は釣りをしないものでご指導をお願いします・・。」と依頼が有りました。

丁度私も最近はステンレス製のボックスに手を加えて使っていましたが、何か物足らなく感じており、

早速「是非一緒に良いボックスを作りましょう・・」とお返事をしました。

藤本製作所さんでは以前からインテリアとしてステンレスの容器や収納用品を販売され、その中にオーダーメイド品として

釣り用ボックス

作成されていましたが、今回本格的なものを作って販売されるらしく、私がその試作品の設計をお受けしました。

その@ 投げ釣り北近畿仕様の設計

そして先ず私が要望したのが、ベルトを通す金具の追加、そして天秤ホルダーの追加でした。

ベルトを通す金具はガタツキや落下防止、そしてクーラーと適度な間隔を保つ役目も有り、要望しました。

また、天秤ホルダーはクーラーに取り付けるとクーラーにネジ穴を開けてキズ付けたり、ネジによって

保温材や壁面を傷付けると保冷力の低下の要因ともなり、

以前からサイドボックスへの装着を考えており、これもお願いしました。

ベルト穴の金具は取り敢えず突き出し長さが15ミリ、幅は40ミリのベルトが通るサイズを要望し、

天秤ホルダーは最近投げ釣り師の皆さんが良く使っておられる天秤でオモリ部分の太さが最も太いFujiのデルナー天秤が

収納出来るよう、上側の丸穴の径を20ミリに設定、下側の穴は8ミリとしました。これでデルナー天秤はピッタリと納まりますし、

私が多用しているトップガンも下側の穴で止まって収納可能となります。

そして各部の図面を送って僅か3日、「出来ました」と藤本さんからメールが有り、その仕事の速さに驚きつつ待っていると、

2日後に試作品が届きました。(^^)v

各部の仕上げは素晴らしく、何処もピカピカに輝いています。蓋を止めるバックルはシッカリとした物が付けてありますし、

蝶番も頑丈で「一生もの」で使えそうな作りに大満足。(^^)

他のボックスと違って蓋が後方まで開いてしまわないように、ストッパーが取り付けてありますが、

この金具も頑丈な作りで、ガタは全く有りません。

早速デルナー天秤を差し込んで

各部の作りの確認です。

先ずは天秤ホルダーから。

デルナー天秤に合わせて

作ったので、もちろんピッタリと

ガタも無く収まってくれました。

しかし天秤の足が天板より突き出て

しまい、これは邪魔になりそうです。

クーラーに装着して携行する場合や

車載時にはこの突き出した足が

引っ掛かったり、邪魔になりそうで、        

これは何とかしたいところです。

投げ専用クーラーとして人気が高い

ダイワのプロバイザーサーフ

SXU-80との組み合わせ。

今回はキスの投げ釣り用クーラーとして

今一番売れているこのクーラとの

組み合わせで各部のサイズを設定

する事にしました。

引っ掛け高さはクーラーの天板と

ボックスの天板の高さが合っておらず、

クーラーとの間隔を決めるベルトを通す

金具の突き出し長さが短いので

クーラーのベルト穴に引っ掛けて

クーラーと共にぶら下げると

天面が面一とならず、

斜めになってしまってます。
次は7リットルのSXU-70と共に

海に持ち出してテスト。

やはり天秤の足の突き出しが気になる

所です。このクーラーとの組み合わせでも

天面どうしの「面一」は保てず、

斜めになってしまい、ここも修正したい

ところです
実釣でのテストを終え、

考えたのはもっと背を

高くして天秤ホルダーの

位置を下げ、天秤の足の突き出しを

無くす事、

そしてクーラーの蓋との「面一」を

保つようにベルト穴用金具の長さを

修正する事。

の2点で、早速持ち帰って各部のサイズの

検討をしました。
そして簡単な図面を書きつつ、

各部のサイズを見直しました。

先ず高さは19.5センチから24センチに

サイズアップ。ダイワの8リットルクーラーの

高さが25センチですので、1センチだけ

短く作ってもらいましたが、この高さなら

天秤ホルダーの取り付け位置を

ギリギリまで

下げる事で天秤の足の突き出しは

無くせます。

また、ベルト穴用の金具の突き出し高さは

15ミリでしたが、これも20ミリに変更し、

クーラーのベルト穴に差し込んでぶら下げた

場合にクーラーの蓋とボックスの天面が

「面一」となるようにしました。

また、引っ掛け金具の位置も下げる事で、

ダイワの多くのクーラーと組み合わせた場合

に大体どのクーラーでも天面の高さが

合う取り付け位置としました。

左の図面をまた藤本さんにメールし、

第2試作品の製作をお願いしました。

前回の試作品は従来品に天秤ホルダーと

ベルト穴金具を取り付けたものでしたから、

すぐに出来上がりましたが、今回は箱から

作ってもらわねばならず、藤本さんには

大変ご無理を言ってしまいましたが、

「2週間程度かかりますけど、作ってみます」

とお返事を頂き、待つ事になりました。
そして待つ事10日余り、待ちに待った

ボックスが届き、早速比較です。

背はかなり高くなり、容量UPもしています。

長いデルナー天秤の足の先端が

ボックスの天板より突き出す事が無くなり、

邪魔にならなくなりました。
ベルト穴を通す金具も5ミリ長くなり、

引っ掛け金具の位置も指定どうりの位置に

少し下げて取り付けてもらっていました。
早速デルナー天秤33号を3本、

トップガン33号を2本差し込みました。

トップガンは細いので落下する恐れも有り・・


「バチリッ」と開閉出来て天秤の保持に

都合が良い、

スーパークリップのSサイズを貼り付け、

トップガンが抜けて落ちないようにしました。

天秤が刺さる穴の間隔は偶然にも

スーパークリップをキッチリと詰めて

貼り付けたら丁度合う間隔で、

これは幸運でしたっ。(^^)
「う〜ん思いどうりの出来じゃ〜っ」と

思いつつ、今度は蓋の裏にスプールを

取り付ける事にしました。
今回はスーパーエアロテクニウムMgの

スプールを2個装着するので6ミリ径で

長さ65ミリのステンレスボルトを

蓋の裏に2本、ステンレスハンダで

ハンダ付けしました。
ボルトがハンダ付け出来たら先ず力糸を

フエルトで押さえて4巻取り付けます。

大きなスプールは場所を取りますが、

スプールの内側のスペースを有効活用し、

ここに力糸を収めてやります。
そして力糸の上からスプールをかぶせ、

蝶ナットでスプールを固定して収納。

これでスプールはガタ付く事無く、強固に

蓋に固定出来、収納して移動しても

中でスプールが転がってボックスと

擦れてしまってキズ付ける心配が

有りませんし、

必要な時は蝶ナットを緩めるだけで

取り出せ、頻繁にスプール交換をする時も

便利に使えます。

ボックス内部に収納した仕掛けや

石粉、スイベルやハサミなどの小物類。

スピナーベイトワレットにタップリと

仕掛けを入れて収納しても未だスペースが

有り、残った小物類は樹脂製の縦長の

小箱に入れて収納します。縦長の小箱は

縦に収納すればすぐに取り出し易く、

こうすれば底に落ち込んでしまった小物を

探す苦労も有りません。

ボックスが容量UPしたお陰で、

これだけ入れてもまだまだ隙間が有り、

ボックスの中にも天秤が余裕で縦に

収納出来ますし、

すぐに使う仕掛け巻きなども

5個程度は入れられます。(^^)v
SXU−80と合体。(^^)

ボックスの天面はクーラーよりも僅かに高く

なりますが、殆ど違和感無く、

天面の「面一」の具合も良くなりました。
奥行きは藤本さんオリジナル仕様が

8リットルに合わせて作られているため、

サイズの変更は無し。

クーラーの幅と同等で、バランスが取れた

サイズです。
次は7リットルのSXU-70と合体。

奥行きはスリムなこのクーラーよりも

少し長くなりますが、

そんなに違和感は有りません。
背が高いこのクーラーですが、

クーラーの蓋とボックスの天面の

位置関係はこれも違和感無く、

収める事が出来ました。
ダイワのクーラーに付属の

ボックスとの比較。

背を高くしたと言ってもオリジナルの樹脂

ボックスよりは3センチ程低く、

幅は同等です。

奥行きも短くて

オリジナルよりコンパクトなのに内部に

凹みが無いので使い勝手は良く、

収納量は逆に大きい程です。

空の時の重量はほぼ同じで、

樹脂製に無い強度も有り、

とても良いボックスを作ってもらった

藤本さんに感謝・・・。m(__)m

そのA スプール内臓仕様の検討と試作品

その後暫くしてからまた藤本さんより連絡が有り、

私が取り付けている「スプールを内臓する為のボルト付き仕様が出来ないか」と言うお問い合わせが

多いとの事でした。私のところにも何人もの方から「ボルト付きが欲しいのだけど、自分はハンダ付けした事が無いので、

最初から付いたやつが欲しいのですが・・・」とメールを頂きました。

そこでまた藤本さんと検討に入り、ボルトの長さや径がなるべく多くのスプールに適合するように検討しました。

私の家に転がっているADTさん初め何十個ものスプールをボックスに装着しては寸法を確認すると共に、

樹脂スプールで有名な篭定釣具店の寺田様にご無理をお願いし、私が所有していないスプールも確認してもらいました。

そして出た結論ですが、国内に流通しているスプール全部に対応するには

以下の3種類のボルトが必要であることが判りました。

@ シマノ全機種、ダイワの35シリーズ他ショートストロークスプールは
  
  4ミリ径で長さ55ミリのボルトで金属、樹脂共に装着可能。

A ダイワ45シリーズは4ミリ径で長さ65ミリのボルトで樹脂、金属スプール共にOK。

各仕様共にボルト間隔は85ミリで蓋の裏に丁度収まると言う結論になりました。

そして試作品の仕様を藤本さんに連絡し、作ってもらったのが以下の試作品です。

製品作りには試作→試用→設計変更→製品と言う手順で万全を期さねばならず、今回は総仕上げなので、

試作品を前にして購入される皆さんに喜んでもらえるよう、慎重に検討しました。

これはあくまでも試作品で、

シマノ全機種、ダイワショートストローク

用とダイワZ45両対応

コンパチプル仕様です。(^^)

径3ミリ、長さ75ミリのZ45用ボルトと

径4ミリ、長さ50ミリのシマノ全機種対応

ボルトを間隔85ミリで取り付けてもらった

試作品です。

ボルトは蓋の裏のステンレスの板を追加

して溶接してあり、もちろん

ハンダ付けよりも取り付け強度が高く、

見た目も綺麗です。

私が作ったハンダ付けのみのやりかた

では、ボルトを強く締め付け過ぎると

蓋が凹んで少し変形しましたが、

板を追加してもらった事で蓋の強度が

高くなり、締め過ぎの時に起こる不具合も

解消してもらってました。

これにいろんなスプールを

取り付けて確認しつつ製品仕様の

検討をしました。
結果、上記3仕様の内、

ダイワトーナメントサーフ35は

未だ使う人が少ないので、Bは特注で

対応してもらい、

@とAでの発売で良いだろう・・

と言う事になりました。

今回はお世話になっている

篭定釣具店様でも

この藤本製作所さんのボックスを

店頭販売すべく検討されており、

篭定釣具店様には

径84ミリのシマノ用ドデカスプールも

有りますので、篭定釣具店様仕様は

お店で取り扱っておられる樹脂スプール

の全てに対応出来る、ボルト間隔90ミリ、

ボルト径3ミリ、長さ70ミリの

仕様となりそうです。


って事で、今回は藤本さんにご無理を言い、素晴らしいサイドボックスを作って頂きました。

このボックスは藤本製作所さんで「投げ釣り北近畿仕様」として販売中で

嬉しい限り。適応クーラーはダイワSXU-80、GXU-80、GXU-110、GXU-1100、GXU-1300]、1600]、1100R、1200Rで

ベルト穴の幅が上記機種と同等で高さが250ミリ以上のクーラーなら取り付けが可能です。

投げ北仕様は3種類となり、ボックスのみの仕様の価格は8,000円天秤ホルダー付きは9,500円

スプール装着用ボルト付きのものはオプションで追加加工をして下さり、シマノ全機種、ダイワショートストローク対応型の仕様も

ダイワ45シリーズ対応型の仕様も注文時に同時に追加注文の場合で共に1,500円プラスの11,000円となります。

汎用の箱だけのボックスよりは背が高くて材料と製作の手間が増えて少し高価になりましたが、

頑丈で錆び難いステンレスのボックスは長く使え、

手入れさえすれば一生ものでお使い頂けると思います。

天秤ホルダー付きの仕様は

商品番号 SO−3

寸法 横11.5cm 奥行き18.5cm 高さ24cm

重量 1.14kg

材質 SUS304ステンレス(鏡面仕上げ)

となりました。


クーラーのどちら側に取り付けるかによって右側取り付け仕様と左側取り付け仕様が有り、注文時に指定をして下さい。

このフル仕様の発売で1ヶ月以上に渡って試行錯誤したサイドボックスの設計もようやく終わりです。

藤本製作所さんでは11月より本格的に発売を開始されました。

お客様の要望にもきめ細かく対応して頂けるそうですし、今後愛用者が増える事を願っているところです。