「ドリームキャスト北近畿−旬の投げ釣りSAORI流デリバリー」VOL1

春3月、ようやく厳寒期を過ぎ、吹雪と荒波で釣行不可の日が続いていた北近畿にも

日差しが戻りつつあり、日中はぽかぽかと暖かい日もありますが、海中は未だ真冬。

一年で最も水温が低いのが3月で、低水温に強いカレイでさえも口を使わなく

なります。アイナメだけが投げ釣りのターゲットとして楽しませてくれますが、

高波の日が多く、無理して釣行してもボウズを喰らってしまう可能性が高く、

私は毎年3月は専ら来るキスシーズンを楽しみに待ちつつ、道具の手入れをしたり、

仕掛けを作ったりと、準備期間になります。
サンドポールはキスの数釣りには不可欠で、

従来は私もムクのステンレス棒を使って自作していましたが、重量は1キロ近くも有り、

大変重くて砂浜を長い距離歩き回るキスの
数釣りでは持ち歩く時には文字どうり、かなり重荷になっていました。

そこで、「カーボンシャフトのサンドポールは欲しくて堪らないけど、買うお金も無いし、

何とか自作で作ってやろう・・」と
思いました。休日は殆ど吹雪で釣行も出来ませんし、

一日かけて工作するにはとても良い時期です。妻に「またお宅してゴソゴソとやるの・・?」と言われつつ

素材探しに釣具店やホームセンターを回ります。先ずはメインとなるカーボンシャフトの素材探しですが、

これは不用となった竿か穂先が折れて使用不能となった竿などが手持ちにあれば、

細くて硬い部分を利用して安く作れそうです。しかし、
不用となったロッドは全てクラブの後輩に譲ってしまっており、

折れた竿も手元には無く、仕方なく同じクラブの国澤氏に頼むと、以前使っていたシーバスロッドと

エギングロッドで穂先やガイドが
付いた不用品を譲ってくれました。

また、釣具店に行き、硬くて細いカーボン素材は無いかと尋ねると、

「折れて修理する時に見積もりするのですが、修理代が高い場合は
直さずに廃棄されるロッドが沢山有りますよ」と

馴染みの店長が言ってくれ
タダで分けてもらえました。釣具店で頂いたのはマダイ用船釣り

ロッドでしたが、元は高級品で、細身で肉厚、元竿付近は張りも強くこれはサンドポールに流用出来そうです。

早速これらの竿の内径、外径を測定し、ホームセンターに走ってこの竿に組み合わせるステンレスパイプや

接着剤などを購入しました。

そして次は道具を準備します。

カッターナイフ、プライヤー、パイプカッター、ハンダゴテ、

ステンレス専用ハンダ、ステンレスハンダ用フラックス、

接着剤が今回の工作では必要で、足らないものはホームセンターで購入しました。

次に竿以外の素材ですが、ステンレスの8ミリ径打ち込み棒。800円

ステンレスパイプ、9.5ミリ径と12.7ミリ径のもので90センチにカットしたもの。540円と720円。

ステンレス釘。50本入りで230円3ミリ径の熱収縮チューブ。130円。

針金細工の時に使う先端保護キャップ。3ミリ径の針金に適合するもので、これも130円。

ステンレスパイプはカーボン竿の内径と外径を測定し、私が頂いた竿は太い竿尻近い部分の内径が10ミリ、

外径
が12.5ミリでしたので、

これに近い外形サイズのステンレスパイプを購入しました。

ステンレスパイプはパイプカッターで9.5ミリ径の方は250ミリと100ミリの長さにカット。

12.7ミリ径の方は30ミリの長さにカットしておきます。

(パイプカッターが無い方はホームセンターで頼むとカットしてもらえます)

ステンレスの打ち込み棒は先端から30ミリの所でカットして砂浜に刺す石突部分に流用します。

私は所有しているパワーカッターで切断しましたが、これもホームセンターで切断してもらえます。

それらのパイプと石突となるテーパー状のステンレス棒を組み合わせ、

ステンレスハンダ用フラックスを塗ってから、
ハンダで強固に接合したのが下写真。

次にカーボンシャフト本体を作る・・と言うより、竿から必要な部分を切り出します。

この竿のリールシートギリギリの位置でパイプカッターを使って切断します。

ガイドはカッターナイフでガイドの足部分に刃を入れ、竿本体に傷を付けないように注意しながら巻糸をほぐし、

取り外します。
残ったエポキシもサンドペーパーなどで除去します。

元竿部分だけでは長さが足りないので、穂先部分は20センチ程度の位置でカット。

これもガイドを取り外し、只のパイプにしてしまいます。

このカットした穂先と元竿部分を継ぐと110センチ程度の長さになります。

カーボンパイプが2本出来たら先程作った石突部分にタップリと金属、樹脂兼用接着剤を塗り、

竿の太い部分に挿し込んだら
砂に刺さる部分の完成です。

当初は9.5ミリのステンレスパイプのみをカーボンシャフトに挿し込みましたが、

テストで地面にガンガンと挿すと少しずつステンレスパイプが

カーボンシャフトの中に入り込み、カーボンシャフトが広がって裂けそうになった為

12.7ミリの竿の外径と同じサイズのステンレスパイプを9.5ミリのパイプにハンダ付けし、

挿し込む時の力が
カーボンシャフト下端に当たるようにし、裂けてしまうのを防止しました。

次は竿受け部分の製作です。

先ずはステンレス釘の頭の皿をペンチなどで切り落とし、プライヤーやペンチで曲げます。

釘が好みの形に曲がったら、

2本を組み合わせて9.5ミリ径のステンレスパイプに挿し込み、

ペンチでステンレスパイプを潰し、釘を仮固定します。

このままではグラグラしますので、ここもステンレス専用ハンダで

ハンダ付けします。

しっかりとハンダ付けが出来たらフラックスを拭き取り、釘部分に竿が傷付かないようにクッションの役目をする

熱収縮チューブを通し、ライターであぶって収縮させて固着させます。

また、先端は尖って危ないので、針金細工用の保護キャップを付けます。

これで竿受け部分は完成です。

これを先程カットした20センチの穂先に接着剤を塗ってから挿し込みます。

最後に穂先と元竿を合体させて完成です。

私はサンドポールにエサ箱を装着し、クーラーに手を伸ばさなくても

エサ付けが出来るようにしているので、シマノのクーラーオプション

の小出しエサ箱をこのエサ箱に付属しているホルダーを使ってサンドポールに固定しています。

このホルダーの適合パイプ径は10ミリですが、

今回は細身の竿を流用して使ったので、ピッタリと取り付けも出来ました。

  

全長は私の愛用竿であるシマノのキススペシャルの仕舞い寸法が143センチですので、この長さに合わせました。

重量は145グラム程度ととても軽く、従来使っていた自作のステンレス棒を利用したものが

950グラム程度でしたので、大幅に軽量化したポールが出来ました。

掛かった費用は全部で1,500円程度で、市販品の10分の1程度で出来ました。

今回の製作記では頂き物の廃品竿を流用しましたが、穂先が折れたロッドやもう使わない

ロッドが物置に眠っている方は
再利用して是非作ってみてください。