アームローラー ベアリング交換

リールのアームローラーは糸巻き時に必要なパーツで、滑らかに回転をしてスムーズに糸を巻き取る為に欠かせない部品ですが、

回転を滑らかにする為に殆どのリールにはミニチュアボールベアリングが使われています。

このベアリングの性能が大切ですが、使用環境はベアリングに取っては劣悪。

海水や細かな砂粒の浸入によるボールの損傷、塩分による錆が発生するとたちまちベアリングは滑らかに回転をしなくなり、

先ず発生するのが異音、より劣化すると回転不良、最悪の場合はベアリングのロックに至ります。

従ってリールのメーカーでは防錆性能を高めたA-RBなどのベアリングを採用したり、

ボールに砂が噛み込み難いシールド型ベアリングを採用しています。

しかし・・元来ミニチュアベアリングは耐久性に乏しく、過大負荷に対しての耐久性は高くありません。

海水や砂が浸入しなくてもボールが磨耗して回転性能が落ち、滑らかに回転しなくなります。

私などは一年中キス釣りでリールを酷使しており、1年も使うとアームローラーがスムーズに回転しなくなって来ます。

スーパーエアロキススペシャルMG編

スーパーエアロキススペシャルMgを購入して1年余りになったのを機会に最も弱い部分であるアームローラーのベアリングを

交換する事にしました。

このリールは防錆性能を高めたA-RBベアリングを採用していますが、A-RBベアリングと言うのは通常の鉄製のベアリングに

防錆表面加工を施したもので、その表面に砂粒の侵入などで微細な傷が付いたら内部は鉄なので錆びてしまいます。

私はこの事をカレイ釣り等で使っているパワーエアロで経験したので、

今回は錆びないステンレス製のベアリングに交換する事にしました。また、純正ベアリングは

玉が露出しているオープンタイプですが、砂が侵入しにくいシールドタイプを選択し、同じサイズのものをネットで検索。

このベアリングは外径8ミリ、内径4ミリ、幅が3ミリでいろいろと探した結果、丁度良いものが見付かりました。

選んだのはミニチュアベアリングでは世界トップシェアを誇る国産の「ミネベア社」製品。

全世界での信頼が高いメーカーで性能は一級品と定評があるもので、迷わずこれに決めました。

注文したのは北海道のIRIJONさんですが、メール便なら送料100円で

1個単価は300円と安かったので発注。


ちなみにベアリングのサイズですが、03 スーパーエアロテクニウム Mg は外径8ミリ、内径5ミリ、幅2ミリで

呼びサイズはDDL-850となり、ミネベアの汎用品でシールドタイプは有りません。

08キススペシャルMg は外径8ミリ、内径4ミリ、幅が3ミリでシールドタイプが有り、

呼びサイズはDDL-840ZZとなっており、リールによってサイズがまちまちなので

注文時にはメーカーサイトで確認の上発注します。

純正のA-RBをシマノに注文すると何れも1個1200円程度ですが、汎用品を流用すると、

大体4分の1の価格でリーズナブル。

これがミネベア社のステンレス両シールド

ベアリングです。 
                            
シールド部分も樹脂やゴム製では無く

ステンレスでオイルにも強くて良さげです。

品番は DDL-840ZZと言うものです。
ローラーごとリールから取り外しました。

一年の使用でローラーやベアリングには

細かい砂粒や塩の結晶が付着しており、

グリスも劣化しして黒く変色していました。

先ずはパーツクリーナーで

綺麗に洗浄します。

ローラーから樹脂のカラーに組み込まれた

2個のベアリングを取り出します。

分解しながら各パーツを綺麗に洗浄して

汚れを拭き取りながら作業します。
カラーからベアリングを抜き取って

分解終了。頻繁に注油していたので

A-RBに錆は発生していませんが、

僅かなゴロゴロ感が発生していましたので

ポールが少し磨耗しているようです。
そこで下のミネベア製ベアリングに交換。

上の2個がA-RBですが、

ミネベアのベアリングは

シールド部分の精度が高く、A-RBよりも

隙間が狭くて砂粒の侵入も少なそうです。
センターピンも綺麗な状態にしてから

組み込み開始。
先ず1個目のベアリングを収めたカラーを

センターピンに挿し込み、少しグリスを

塗布してやります。
ローラーも組み込み、

2個目のカラーも挿入して

またグリスを少し塗布します。
ネジを慎重に締め込んで組み立て完了。

早速糸を巻き取って軽く、滑らかな回転と

なったのを確認します。


ダイワZ45編

ダイワの45シリーズは元来アームローラーベアリングの耐力が劣っており、錆びだけでなく、砂噛みによる異音を

所有者の殆どの皆さんが経験されていると良く聞きますが、最新のZ45ではゴムのパッキンでベアリングを保護するなどかなり改善されました。

が・・ベアリング軸がベアリングの内径に対して意図的に細く加工されているようで、遊びが大きく、その遊びの部分から海水や細かい砂粒が

ベアリングに侵入し、時々注油してもやはり1年も使い続けると、錆びてしまったり、錆び無くても磨耗が進行して

ベアリングを交換しないと異音が出始めます。

先日まで調子良かったZ45が突然異音を

発し始め、アームローラーを分解すると、

錆び耐性が高いとダイワ自慢の

CRBBもこのありさま。

海水が浸入して細かい

砂粒が噛むと錆びてしまい見るも無残。

このリールもローラーベアリングは

2個使われており、

早速ステンレスのシールドベアリングを

発注。
今回もタミヤ模型のラジコン用

オブションパーツとして販売されている

4個セットのものを購入。


純正は1個1050円と高価ですが、

これは4個で1680円と

ステンレスでシールドタイプなのに安い・・。

サイズは呼びサイズ850で

外径8ミリ、内径5ミリ、幅が2.5ミリの

ラバーシールドタイプ。

ミネベア製の金属シールドの

ものはMG同様に

こちらでも購入可能ですが、


今回はデッドストックが有ったのと、

前回Z45Uで使って長期間交換不要で

調子良かったので今回もこれを

使って交換作業開始。
先ずはローラーアームから

ローラーをネジ1本を


緩めて取り外し、ローラーの両端に有る

シールド用のゴムのパッキンをはがして

2個の錆びて劣化したベアリングを

取り出します。


ローラーやゴムのシールは洗浄剤で

綺麗にし砂粒や塩分を洗い流し・・
右が純正の取り外したベアリング。

左が新品のラバーシール

ベアリングです。

元どうりに組み立てて

ローラーの内部に注油しながら

交換作業完了。

交換作業自体はシマノのリールよりも

部品点数が少なく、分解もたやすいので

簡単です。
スムーズに軽く、異音無く回るかの確認は

新品の道糸に巻換えながら確認。

ゴロゴロと異音を発していたのが

ウソのように滑らかに道糸を巻き取れ、

新品の性能を取り戻しました。

これでまた一年、リールを快適に使えそうです。ミニチュアベアリングは小さいのに高い負荷がかかり、

海水や砂にさらされるのでいわば消耗品。定期的に交換する事でいつも快適な回転感を得られます。


ベアリングは異音を発したら最後、注油しても気休め程度で一時的に音を発しなくなったりもしますが、

すぐにまたダメになりますし、交換するしか有りません。