テクニック編

そのF エサ

キスの数釣りのエサとしてはイシゴカイ又はチロリ、アオイソメ、等が使われますが、

「3時間で100匹」を狙うとなるとエサの付けやすさや食い込み、太さなどで主に

イシゴカイが使われます。釣りは「一に場所、二にエサ、三に腕」と言われるように

エサの質や付け方により、釣果は大きく左右されますが案外このエサに関して無頓着

な釣り人が多く、「キスがエサに食いついて初めて釣りが成立する」 この最も基本的な

ことをもっと重要視するべきだと思います。「エサが針についておればよい」だけでは

キスの数釣りは望めません。 ここではエサの購入から付け替えまでの基本的な事を

紹介しますが、この基本的な事が欠けるとキスに限らず釣果はガクッと落ちますので

注意が必要です。

先ずエサの購入に関してですが、これは多分にエサ店に主導権があり、時には弱ったエサを

買わされる事もありますので、その地域で最も信用のおける店を把握しておいて、得意客と

なっておくことが大切です。得意客になれば店側でも客が逃げないようにいいかげんなエサを

むりやり売りつけられることも少なくなります。 見知らぬ土地で購入する場合はなるべく

客の出入りの多いエサの回転の多そうな店を選ぶか地元の人に問い合わせるかする必要

があります。また、釣具の大型店は「片手間」でエサを扱っている店も多いので注意し、

出来ればエサ専門店で購入するようにします。エサ専門店はエサそのものが主力商品なので

いいかげんなエサを販売するとすぐに客からソッポを向かれるのでその品質に対して信用が

おける店が多いです。一番見極めが難しいのが釣具とエサの販売比率が半々程度の中型店

で、知らない店には手を出さないのが賢明です。 いずれにせよ、買ったエサは釣り場に着く

までにその品質を確認し釣り場で死にかけたエサを見て後悔しないようにしましょう。

イシゴカイの新鮮で良質なものは色が赤っぽく、良く動き、エサ箱に入れると互いに絡み付き

あって塊となるようなら合格です。 逆に切ると青い汁を出したり、茶褐色のものや、動き

が悪くエサ箱のなかでバラバラに這い回るようなものは食いが悪く、弱っている事が多いです。

次に保存法ですが、イシゴカイは高温や乾燥に弱いので、氷を入れた低温、高湿度のクーラー

ボックスの中のエサ箱に入れて持ち歩くようにします。釣り場に着けばいよいよ針に付ける事に

なりますが、一度に多くのエサを石粉にまぶすと乾燥し弱りが早くなりますので、10匹程度づつ

クーラーから取り出し、石粉の入ったエサ箱に移すようにします。

イシゴカイの頭は食いが悪いので1センチ程度は切って捨て、食いの良い時は針いっぱい、

食いの悪い時は5ミリ程度針より余分に付けます。一度投げてキスにかじられた跡があったり

少しでもふやけたものはこまめに付け替えて投げ返すようにします。

一見ふやけていないように見えても二回目の使用での食いは極端と言えるほど悪い場合が

多いので、めんどうですが出来るだけ全部の針のエサを更新するようにします。

連で良く釣る人は必然的にキスを外した針のエサの更新がなされる為、次のさびきでもまた

良く釣れますが、素針や数匹しか食っていない場合にキスが食っていない針のエサが

かじった跡が無く、ふやけてもいないと思い込み再度同じエサを投げ込む人がいます。

これでは次のさびきでは更に食いが悪くなり、素針を引く可能性が高く、良く連で釣る人との

釣果の差は開くばかりとなります。逆の発想で素針を引いた時こそ思い切って全部の針の

エサを更新して早く良く釣っている人と条件を同等にするようにします。 多本針はエサ付け

に時間が掛かり、全てのエサを付け替えると効率が落ちると思っている人が多いですが、

これこそ冒頭の「キスがエサに食いついて初めて釣りが成立する」ことを忘れていることに

なるのです。釣れない時こそ頻繁にエサを更新することが重要で、新鮮なエサが適度な

サビキスピードで海中にあれば仕掛けや針が多少違えどもキスの食いはさほど変わりません。

釣れないと仕掛けのせいにする釣り人が多いですが、キスは仕掛けを食うのではなく

エサを食うのです。このことを認識して常にエサに対して注意を払うことが大切です。

仕掛けはエサを海底に運ぶのが第一の役目であり、どんなにキスが好む色の飾り物や

蛍光色の糸などを使っても新鮮なエサが針に付いていなければキスにそっぽを向かれます。

場所やエサの違いに対して仕掛けの差による釣果に対するウエイトは大きくありません。

このことはキスの数釣りの体験を重ねている釣り人ほど理解しておられるはずです。